修行 2年目 (ルナ)





「今日は儂と打ち合いの稽古じゃ。安心せい、腕一本で済むようにしてやるから。」


「ちょいちょいちょい。腕一本ですか!?」



いや確かにさ!?

今までのは基礎ばっかりで打ち合いとかやってこなかったけどさ!?



「いきなり腕消失の危機なんですけど!?」


「始める位置はだいたい斬り合いができる程度でよかろう。」


「お話聞いてもらえます??」


「ルールは、身体強化はあり、剣のみ、となっておる。理解力のないおぬしでも分かり安かろう?」


「わーわかりやすいですねー」



コイツ、人の話を聞かない系吸血鬼だからな〜



「位置に着いたか?」


「は、いっ――――!?」



いきなり首かよ!!



「この世は弱肉強食。律儀に相手を待っているとは、いい度胸じゃの?」



―――なるほど。合図を待つだけ無駄ってことか。



「師匠、これ腕一本で済むやつ?」


「貴様の頑張りしだいじゃ。」


「ですよ―――ねっ!!」



相手の動きをよく見ろ。


重心、手首と足首の角度。


そして視線。


どこからくる?



――――――右ッ!!



「相手の剣筋を予測する。それはよくできておる。

じゃが、油断大敵、剣以外のことにも目を傾けるべきじゃな?」


「うわっ! っ、チッ。」


「剣だけに集中しているからそうなるのじゃ。これが稽古でよかったのう?」


「・・・・これって剣術の稽古じゃないの?」


「なにを甘えたこと言っとるんじゃ?

戦場でそんなこと言っとったら真っ先に死んでゆくのはおぬしじゃぞ?」


「・・・・・・・・」


「弱い奴から死んでゆくのでない。

油断して、慢心した奴からしんでゆくのじゃ。」


「心の底のどこかで『きっと私は死なない』なんて思っている奴はこの先生きて行けないぞ?」



ぐうの音も出ないな。その通りだ。



「だからこそ、稽古を称しておぬしをちょいとばかし虐めてやろうかと思うての?」


「・・・・・・ん?」


「稽古はまだ始まったばかりじゃぞ?

なあに、時間はたっぷりあるからの? 安心するがよいぞ?」


「拒否権は・・・・・」


「まだまだ余裕そうじゃの。」


「ひぇっ・・・・(泣)」



――――――――――――――――――――




「打ち込みが甘い。・・・・休んでいる暇は無い。」


「ハッ、ハァ、ハ―――うぐっ、うっ」


「どうしたんじゃ。立てるじゃろう。」


「――――ヒュッ、うぅッ」



い、息ッ、がっ


わきッ、ばらにッッ


け、んッ がっ


・・・・!?


な、なっ、に、これ



(あかい、すごいたくさん・・・・・・血?)


(いったいだれの――――



――――あ、っ



「ゔッ」




――――――――――――――――――――

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