第5話 ダンジョンの異常
キリ姉の声で、皆に緊張が走った。どこかに魔物が居る。
私は、言われた場所に神経を集中して魔物の気配を探った。確かに、僅かではあるが、魔物の気配を感じることが出来た。先ほどは、気が付かなかったのに。感情的になって、集中力が欠けていたのかも知れない。
「もっと、冷静に行動しないとだめだわ」
私は、自分にダメ出しをして、気を引き締めた。
魔物の気配は徐々に強くなり、蛇のような魔物であることが分かった。
「サーペイントよ。毒があるので、注意して!」
とキリ姉が皆に声を掛けた。
「
リチャードが叫びながら、突進していった。すると、リチャードに呼応するように、地面が割れ、サーペイントが現れた、5mもあるような巨体を天井付近まで持ち上げて、リチャードを睨みつける。更に、赤い舌を出し、口を大きく開けた。すると、上下の顎に鋭利な毒歯がそれぞれ2本ずつ見えた。
「シュー、シュー、シュー」
とサーペイントは、不気味な音を上げながら、赤い舌を出した。間髪入れずに、キリ姉が放った
「ドリャー」
今度は、リチャードの声とともに、サーペイントの胴体に斧が振り下ろされた。切り落とすことは出来なかったが、斧は、サーペイントの胴体に深々と刺さった。
「ドリャー」
再度、リチャードの声が聞こえと思うと、突き刺さっていた斧が抜かれ、同じ個所に振り下ろされた。
こんどは、胴体が叩き切られ、上半身が、床に落ちてきた。
「注意して、まだ、死んでいないわよ」
とキリ姉がリチャードに注意した。
「分かった。ありがとう」
と返事をすると、リチャードは、サーペイントの頭の横に立ち、再度斧を振り下ろした。今度は、サーペイントの頭が斧によって、避けた。サーペイントの魔石が飛び出した。ついに倒すことが出来た。
「第5階層に出てくるような魔物ではないのに」
と、リチャードが独り言のようにつぶやいた。
「本当に、何か変ね」
とキリ姉が答えた。
リチャードによると、サーペイントは、通常第8階層以下にしたいない魔物だそうだ。それが、こんなに浅い階層にいる。
ダンジョンの様子がおかしいので、これ以上潜ることは危険なので、引き上げることにした。 第4階層で、休んでいた2人と共に、ダンジョンを抜けて、冒険者ギルドに報告に行くことになった。
冒険者ギルドにつくと、リチャードが、受付のシェリーに声を掛けた。
「至急、ギルド長に話したいことがある。取り次いでくれないか?」
「どうしたの? ギルド長に話って!」
受付のシェリーは、少しびっくりしたようだ。
普通の冒険者が、ギルド長に話って、普通は、無い。
シェリーは、ギルド長の所へ皆を案内した。
「ギルド長、私は、リチャードと言います。今、ダンジョンから出て来た所です」
「それで?」
「実は、ダンジョンの様子が普段と違うのです」
「何! 詳しく話してくれ!」
ダンジョンであったことをリチャードが話した。その結果、ギルド長は、ダンジョンを調査することにした。早速、冒険者パーティを派遣することになった。
私達は、ギルド長の部屋を出てから、別れた。
私と、キリ姉は、今日の魔物の回収物を受付のシェリーに買い取ってもらった。
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