第19話 魔法学院での生活(2)

 私は、アンティークを置いている商店を見て回ることにした。以前のような掘り出し物があるかもしれない。従魔のパープルも一緒だ。キリ姉は、冒険者ギルドで、他のダンジョンについての情報を集めるようだ。

 

 「すみません。店の中を見てもいいですか?」


 「はい、いいですが、どのような物が入り用ですか? お探ししますよ」


 「そうですね。アンティークを探しています。できれば、用途不明な物があれば、興味があります」


 「用途不明ですか。普通、使い道のないものは取引対象ではないので、思いつきませんね」


 「そうですね。それでは、この店で最も古いアイテムを見せてください。古ければ、武器でも置物でも、何でもいいので」


 「わかりました。こちらに来てください」


 「この棚の物が、私どもの商店で最も古い商品です」


 「ありがとうございます。少し見ますね。手に取ってもいいですか」


 「いいですよ。古い商品で、壊れやすいので、取り扱いには注意して下さい」


 「はい、わかりました」


 私とパープルは、案内された棚の前で、商品の品定めを始めた。すると、いつの間にかパープルが少し離れた場所から私を見ていた。


 「パープル、どうしたの? こっちにおいでよ」


と、私が声を掛けても、パープルは、首を振るだけで、私の方へは来ようとしない。


 「どうしたの? おいでよ」


と、もう一度声を掛けた。でも、先ほどと同じで、全く動こうとはしなかった。仕方がないので、私の方がパープルに近づき、再度、声を掛けた。


 「どうしたの?」


 「怖いの」


と小さの声で答えながら、震えていた。理由がわからにが、キリ姉との待ち合わせもあったので、


 「すみません。友達の体調が悪いので、帰ります。また、来ますね」


 「わかりました。気を付けてお帰りください」


 待ち合わせ場所で、冒険者ギルドで有益な情報を得たらしく、興奮したキリ姉がいた。


 「どうしたの? そんなに興奮して」


 「近くの中級ダンジョンで、ドロップアイテムが沢山出ているらしいの。しかも、低階層からも結構いいアイテムがドロップしているらしいの」


 「本当?」


 「本当よ。早い者勝ちって、感じ。早速、行きましょう。あなたが来るのを待ちわびていたの」


 「はい。すぐ行きましょう」


 私達は、あまり強い魔物が出ていないらしい、中級ダンジョンに、軽装で潜ることにした。早い者勝ちだから、遅れをとってはいけないので。


 そのダンジョンの前には、冒険者パーティーの行列が出来ていた。


 やっと、私達の番になり、急いで、冒険者IDと入場料を係に私、ダンジョンに潜った。


 「ちょっと、不安定ですので、気をつけてください」


と、別の係員が行列のパーティー全体に声を掛けていた。

 

 「さあ、行くわよ。ダッシュ! ダッシュ!」


 キリ姉は、興奮して叫びながら、ダンジョンに突撃していった。私は慌ててスキル探索で、魔物を感知する。後ろのパープルも、すでに、準備済みのようだ。


 「キリ姉、どんな魔物から、ドロップするの?」


 「よく分からない。どうも、レベルに関係ないらしい」 


 「それって、ガチャみたい」


 「? ガチャみたいって、何?」


 「宝くじ見たいっていうことよ」


 「かわったことをいうのね。キリは」


 「てへへ」


 自分の頭を軽く叩いた。うっかり、前世の言葉を使ってしまって、照れ笑いをした。


 「それでは、範囲攻撃がいいね。キリ姉」


 「そうよ。一緒に範囲攻撃を放ちましょう。パープルは、魔石やアイテムを拾って来てね」


 「ハイ」


 パープルは、いつも良い返事だ。


 私達は、他のパーティーを避けながら、風壁を打ち続けた。パープルは、倒れた魔物の傍に行き、魔石などを回収していく。たまに、ドロップアイテムもあるようだ。一定の時間が経つと、パープルは、忘れずに青のポーションをキリ姉に降りかけていた。


 「どんどんいくわよ」


 「はい」


 「ハイ」

 

 いつの間にか、私達は第19階層まで、到達していた。流石に、この階層には他のパーティーはまだ到達していなかった。


 この階層の魔物も殲滅してしまい。ついに、やることが無くなってしまった。

 ダンジョンに潜る時に確認した通り、ワーウルフの群れぐらいしか遭遇しなかった。

 今の私達のパーティーでは、全く問題なかった。


 「終わったね。キリ姉」


 「そうね。終わってしまったね」


 「戻る?」


 「ここまで、来たのだから、第20階層で、食事でもしてから戻りましょう」


 「はい」


 「ハイ」

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