第14-15話 従魔登録

 あれから、2週間が過ぎた。やっと、冒険者ギルドの調査が完了したようだ。


 ダンジョンは、第20階層までマップも出来上がったみたいだ。


 第21階層から下については、高位のパーティーが居ないので、冒険者ギルドの調査依頼ができないみたいだ。冒険者ギルド長は、少なくとも、Aクラスのパーティーでないと、依頼を受けれないと言っていた。


 この2週間で、私達二人とも、Aランクの冒険者にランクアップした。LV60の黒魔導士のパーティーになった。


 「キリ姉さん、私、従魔契約をしてみたい」


 「急に、どうしたの?」


 「LV60になったので、LV50ぐらいの魔物であれば、従魔契約できそうでしょ」


 「そうね。できるかも? でも、従魔が納得しないとだめよ」


 「うん。わかっている」


 「ターゲットは、どんな魔物なの」


 「ワーキャトを考えているの。強いし、すばしこいし、群れていないし、可愛いから」


 「確かに、猫耳は、興味をそそるね」


 「でしょ。だから、挑戦してみたいの」


 「いいわよ。当てはあるの?」


 「冒険者ギルドの調査結果を見たら、第19階層で、時々、見かけられているそうよ。ただ、すばしこいので、見かけただけで、遭遇したパーティーはいないみたい」


 「そう。少しは可能性があるのね。それじゃ、準備して潜ってみますか」


 「はい」


 早速準備をして、明日ダンジョンに潜ることにした。


 ダンジョンに潜る前に、新しい情報がないか、冒険者ギルドによって、確認した。特に変化がないようなので、早速、潜り始めた。目的は、第19階層なので、余計な魔物を狩るのを避けながら、一気に進んだ行った。


 通常の魔物は、狩られてもまた、復活するようで、第11階層の魔物も復活していた。

 でも、今の私達のレベルからすると全く問題はなかった。さっさと、LV50のサーペイントを狩り、第12階層の小屋まで到達した。


 私達は、小屋で昼食を取りながら、今日の予定を確認していった。冒険者ギルドのマップによると、第20階層までは、同じような魔物が現れるだけで、特に注意することはなさそうだ。


 ただ、たまにミミックが出現するので、宝物には、飛びつかずにしっかりと確認するように書かれていた。


 「キリ、今回は、宝物はスルーするよ。ミミックは厄介だから」


 「はい、いいよ。ワーキャトは、私に任せてね」


 「いいわよ。その代わり、しっかりと捕まえてね。可成りすばしこいよ」


 「はい。任せてね」


 「取り敢えず、第16階層までは、一気に進むよ」


 昼食も食べ終わり、早速、潜り始めた。マップに書かれた通り、問題なく、第16階層の小屋まで、たどり着いた。夜までは、まだまだ、時間があるので、もう少しだけ潜ることにした。


 その代わり、夕食前には、切り上げて第16階層の小屋まで戻る事にした。


 「ワーキャトが見つかるといいなぁ」


 「そう、簡単には見つからないわよ。探索では分からないの?」


 「ずっと見ているのだけど、それらしい魔物はいないの」


 「この階層には、武装したスケルトンがいるだけで、特に強い魔物は見つからないわ」


 「それじゃ、もう一つしたまで、潜る?」


 「いいの! 潜る、潜る」


 私達は、次の第18階層に行き、討伐を続けることにした。


 第18階層に到達して、スキル探索で、全体の魔物を感知した。


 「何かいるよ」


 「何かって、何よ。はっきり、分からないの?」


 「凄く早く移動しているので、よくわからないの。でも、それは1匹だけで、それ以外は今まで通り、位置もレベルも種別もはっきり、わかるよ」


 「その素早い魔物は、多分ワーキャトだね。殺すと従魔契約ができないので、取り敢えず、弱らせて動きを止めないとだめね」


 「この階層に、他のパーティーはいない?」


 「ちょっと待ってね。居ないみたい」


 「それなら、範囲攻撃で、少しずつHPを削り取って、動きを止めるね」


と言って、キリ姉は、風壁ウィンド・ウォールを放つ準備をした。


 「位置を言うので、そこへ放ってね。


 (135、48)


 (146、79)


 (174、126)


 (213、159)


 (230、177)」


 最初は、少し掠る程度だったのが、少しずつ風壁ウィンド・ウォールの中心付近で当たるようになってきた。それにつれて、与えるダメージも大きなものになってきた。


 キリ姉は、青のポーションを1本飲んで、MPを回復させた。


 「動きが鈍くなってきたよ。


 (237、203)


 (277、231)


 (309、263)」


 私達は、ワーキャトの位置に近づきながら、一緒に風壁ウィンド・ウォールを放っていった。暫くすると動きが止まった。


 「もう5mもないよ」


 「あれかな?」


 「そうみたいね」


 目の前に、身体中を傷だらけにして、元々は薄い茶色だった体毛を血の赤色で染めていた。


 ワーキャトの体調は、小さな子供ぐらいで、約120cmほどだった。


 私は、静かに近づいていき、キリ姉から貰った赤のポーションをワーキャトの全身に掛けてあげた。すると、みるみるうちに、赤色で染められていた毛が元の薄い茶色に変化した。


 少し元気になったワーキャトは、立ち上がり、私を見つめている。


 「私と一緒に生活しない?」


 ワーキャトは、じっとしている。


 「言葉はわかる? もしわかったら、頭を動かしてみて」


  ワーキャトは、少し頭を振った。


 「そう、わかるんだ。私と一緒に来ない? よかったら、頭を縦に振ってくれる」


 ワーキャトに、わかるように、私は頭を縦に振って、どうして欲しいのかを態度で見せた。


 すると、ワーキャトも、私と同じように頭を縦に振ってくれた。怪我を直してあげたので、信用したのだろう。


 「それでは、私の従魔になってくれる? よかったら、頭を縦に振ってくれる」


 ワーキャトは頭を縦に振ってくれた。


 私と、ワーキャトとの間に光の鎖が現れ、私とワーキャトの手にに触れるとともに消えた。


 その代わりに、私の手にも、ワーキャトの手にも同じ五芒星が描かれていた。


 これで、ワーキャトとの従魔契約は完成した。


 「私の従魔になってくれて、ありがとう。私は、キリ。あなたは?」


 「ワタシハ、キャット・パープル。パープルデイイヨ」


 「パープル、よろしくね。私の隣にいるのが、キリ姉よ」


 「パープル、よろしく、私もキリなの、だから、キリ姉さんと呼んでね」


 「ワカッタ」


 何とか、目的を果たした私達は、冒険者ギルドで、従魔登録をすることにした。冒険者ギルドに行く途中で、私は、内緒で購入していたマタタビをパープルにあげた。ちょっと興奮したみたい。


 薄っすらと体毛があるが、裸のままではまずいので、取り敢えず、私のローブを掛けてあげた。そして、アイテムボックスの中の私の下着と服を着せてあげた。


 冒険者ギルドでシェリーに従魔登録をしてもらった。私の冒険者IDに、【従魔:ワーキャト(キャット・パープル)】と表示された。


 これで、パープルは、正式に私の従魔となった。


 今回のダンジョン探索で得たものも、アイテムボックスから出して、シェリーに引き取って貰った。いつものように、報奨金は冒険者IDに入れて貰った。


 私達は宿屋の部屋に戻り、3人で夕食を食べた。パープルを風呂に入れてから、少し早いが寝ることにした。

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