第16話 魔法学院へ

 3人は、ダンジョンに潜り、3人の役割がうまく機能するのかを確認した。それに、魔法学院に行くにも、色々と経費がかかるので、しっかりと稼いでおこうということになった。


 3人の役割といっても、ヒーラーとしては、今の所ほとんど意味がないが、練習でパープルにポーションを降りかけて貰っている。


 サーペイントも3匹狩って、収穫も満足できる量に達したので、冒険者ギルドで、清算することにした。数年は、ダンジョンに潜らなくても大丈夫なほど金貨が溜まった。


 私達3人は、シェリーに別れを告げて、魔法学院のある王都に向けて馬車に乗った。王都までは、馬車で1週間かかる。でも、3人での旅は初めてで、話すことも多く、気がつくと、王都の正門の前まで来ていた。


 正規の馬車なので、私達3人は馬車を降りることなく、王都に入ることが出来た。


 まず、冒険者ギルドで情報収集だ。次に宿屋の手配と王都で目立たないような服装の調達をした。


 一度宿屋で荷物を置いてから、食堂で昼食を取った。


 流石に、王都だけあって、食堂は満席で活気に溢れていた。パープルにはフード付きの服を着て貰っている。王都でのワーキャトの扱いがどうなっているのか、よく分からないので、用心した。


 食堂では、複数のパーティーいて、ダンジョンの話や最近現れた王宮にいる勇者の話などが聞こえてきた。王宮や神官達が探しているが魔王はまだ現れていないらしい。勇者は、王宮の近衛兵と共に、魔王討伐の準備も兼ねて、ダンジョンに潜り、魔物を狩りまくっているらしい。


 その為、壊滅したダンジョンも複数あるらしい。そして、その影響で初級ダンジョンに過剰な魔力が集まって、変貌を遂げているらしい。


 勇者は一人で、神官達によって召喚されたらしい。それに若い男性で、イケメンだということだ。でも、王宮に閉じ込められているので、めったに見ることは出来ないらしい。

 

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 魔法学院に行き、相談してみると、特別枠で平民でも入学できるそうだ。でも、1年でたった5人しか入学できないので、相当厳しそうだ。


 特別枠での入学試験は、実技試験と面接でだ。実技試験は、ダンジョンに隠されたアイテムをいかに早く持ち帰るかを競う。面接は、学院長と3名の高位教員による口頭試問だ。


 一定のレベルでないと面接はしてもらえないらしく、逆に言うと、面接までいければ、ほぼ合格らしい。この特別枠での合格者は、入学から卒業するまでのすべての費用が免除される。ただし、これは、入学してからの話で、入学金は、金貨10枚が必要らしい。冷やかしを防ぐためらしい。また、従魔については、いっしょに生活することは許されているが、従魔の管理については、各自に任されており、学院側は援助しないということだ。


 入学の目途が立ったので、私達は実技試験に使われるダンジョンの下見をすることにした。入学試験まで、約1カ月あるので、ゆっくり、確認できそうだ。


 指定されているダンジョンは初心者用ダンジョンで、最下層の階層でも、20階層しかないらしい。


 冒険者ギルドでダンジョンのマップを購入してから、実際に潜ることにした。試験当日は、一人ずつ潜るので、今回は、パーティーとしてではなく、一人ずつ独立して潜ることにした。


 いっしょに、ダンジョンには入るが、お互いに干渉せず進んで行くということだ。


 従魔のパープルにも、見ているだけと注意しておいた。


 このダンジョンでの最強魔物はワーウルフということだ。そして、このダンジョンでは、ワーウルフの群れは、10匹を超すことはないらしい。つまり、最大で10匹のワーウルフの群れに対処できれば良いということだ。


 今回は、魔法学院の入学試験なので、私も黒魔導士として、ダンジョンに潜ることにした。

 つまり、帽子にローブに杖というスタイルだ。


 実際に潜ってみると、ワーウルフの群れといっても、ほとんどが5匹以下で、全く問題なく狩ることが出来た。魔物の対応は問題がないことがわかったので、後は隠されたアイテムを如何に素早く見つけるかにかかっている。どんなアイテムかが問題だ。


 しかし、こればかりは、当日にならないとわからない。それに、事前にアイテムが設置されるということだから、受験生は、それぞれ、自分だけのアイテムを見つけるということになる。置かれている場所もランダムなるのだろうか。


 でも、公平性ということを考えると、同じ場所で、同じアイテムを取ってくるということも考えられる。そして、そのアイテムは、何度とってもなくならないということになる。色々と考えたが、余り意味がないので、当日のお楽しみということで、これ以上は考えないことにした。

 魔法学院の入学試験まで日にちがあるので、王都を見て回ることにした。


 王都には3つのエリアがあった。1つは、王宮のあるエリアで、ここには王族とその親戚にあたる貴族が生活している。もう1つは、貴族の生活するエリアで、平民は特別に許された者以外は入ることができない。最後に、平民が生活するエリアで、私達が生活しているエリアだ。


 神殿は、貴族エリアにあり、貴族門で係員に許可されないといけない。王宮のあるエリアと貴族エリアの境にも門があり、そこは近衛兵が出入りする者を監視している。


 各エリアは、王宮のあるエリアを中心にドーナツ状に配置されている。


 平民が生活するエリアは、単に街と呼ばれている。街は、低い木の塀で囲まれており、塀に隣接する形で、農地や草原が広がっている。


 塀の近くを近衛兵が、魔物や敵の攻撃を防ぐ目的で、巡回をしている。


 無許可で塀を出入りすると厳罰に処されるので、盗賊以外は塀を超えることはない。


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