第13話 パーティーのメンバー補充?

 翌日は、戻る途中に出くわした魔物を狩りながら、ダンジョンにしかない、貴重な薬草を採集していった。赤や青のポーションを作るのに必要な薬草やその他のアイテムを作るのに必要なものをできるだけ採集していった。以前と違いスキル鑑定があるので、必要な薬草を採集するのは容易かった。


 ダンジョンを抜けると直接冒険者ギルドに行った。

 

 「シェリー、魔物を引き取ってくれる」


 「はい、いいですよ。このトレーの中に入れてね」


 姉は、アイテムボックスの中の王級のアイテムボックスから魔石などを取り出し、トレーの中に入れていった。


 「凄い数ね。何階層まで行ったの?」


 「今回は、第11階層まで潜ったよ」


 「えっ、キリのパーティって、2人の黒魔導士でしょ。それで行けたの?」


 「うん。他のパーティーも居たから、大丈夫だったよ」


と、姉は適当に答えていた。


 「そう。まだ、冒険者ギルドの調査が完了していないから、気を付けてね」


 「うん、わかった」


 「はい、今回の報酬よ。それから、今回は2人ともランクアップしたわよ。

 妹さんは、Cランクに、そして、あなたはBランクよ」


 「やったー! 遂にBランクだわ」


 「そろそろ、あなた達もパーティーを組みなおしたら? ヒーラーや戦士も必要じゃない?」


 「そうね。また、考えてみるわ。今日はありがとう。バイバイ」


 「バイバイ」


 確かに、シェリーが言うように、そろそろ本格的なパーティーが必要かもしれない。しかし、姉のキリは、何故かパーティーが嫌いだ。先日のリチャードとの接し方を見ると、人間嫌いじゃなさそうだし、男性嫌いでもなさそうだから、どんな理由があるのだろうか?


 取り敢えず、タンクは私が居るし、後衛の魔法使いは、姉のキリが居るし、必要なのはヒーラーね。


 考えてみれば、私は、赤も青もどちらのポーションも作れるし、ほぼ無尽蔵と言えるアイテムボックスもあるから、何本でも、ストックできる。


 一体、ヒーラーって、何かな? 普通に考えれば、パーティーのメンバーの回復と強化だね。ポーションを飲んで回復することは可能だけど、戦闘中に飲む余裕がないと、ポーションでは、十分とは言えない。また、強化の魔法も常時かけ続けてほしいし、やっぱり、ヒーラーが必要かな?


 「キリ姉さん、ヒーラーって、いる?」


と、思い切って姉に聞いてみた。


 「そうね。居れば助かるけど。絶対じゃないわね」


 「身体強化用のポーションって、あるの?」


 「あるよ。体力・俊敏性・スピード・耐性など、色んなものがあるよ。でも、特殊なものほど高価だよ」


 「誰が作っているの?」


 「それは、錬金術師だよ。材料は、商人から仕入れたり、自分で採集したり、それぞれだね」


 「ふぅん」


 「どうして、そんなこと聞くの?」


 「ヒーラーの代用をポーションみたいなもので出来ないかなぁって、思ったから」


 「そうね。戦闘中に自動的に飲むことができれば、いいけど。そうじゃないと、だめかな」


 「知的な魔物を従魔にしたら、どうかな?」


 「もし、知的な魔物がいて、従魔にできれば、ポーションみたいなもので、代用できそうね」


 「従魔にするには、どうしたらいいの?」


 「従魔になってもいいと、納得したらいいだけよ。後は、冒険者ギルドに従魔登録すれば、完了!」


 「えぇ。それだけ」


 「そうよ。でも、従魔になってもいいって、思う魔物って、めったにいないよ。当然、圧倒的に力の差がないとだめだよ」


 「今の私たちのレベルってどれぐらいなの?」


 「私が、LV50かな。キリは、魔力量はあるけど、それを除くと私より、少し下かな」


 「魔人を従属契約して、奴隷として使っているパーティーもあるけど、私は嫌い。奴隷って、いやよ」


 「変なことばかり聞いて悪いけど、もう一つ聞いてもいい?」


 「いいわよ。遠慮しないでね」


 「魔法陣って、どんな時に使うの?」


 「魔法って、普通はマナをイメージ通りに、練り上げていき使うのだけど、イメージが出来にくい魔法や、一人では実行できないような多量のマナが必要な魔法の時に複数の人で実行する時や、装置にマナと共に組み込んで、魔道具として使う時などかな」


 「魔法陣に興味があります。教えてください」


 「だめだよ。私は詳しくないから。普通は魔法学院で教えてるよ。でも、魔法学院は、貴族だけの学校だから、私達では入れないよ」


 「そうですか」


 私は、がっかりして、項垂れてしまった。


 「暫くは、第12階層までにして、冒険者ギルドの調査が完了してから、更に深く潜るかどうかを考えましょう。だから、暫くは、これまで通り、2人だけのパーティーよ。いい?」


 「はい。わかった」

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