第7話 妹の覚醒

 中級レベルの魔法は多くの魔力を消費するので、マナポーションを用意することにした。


 姉のキリと私は、いつものようにバケツ一杯のマナポーションを作った。でも、このままでは、運びにくいので、ポーション用の瓶に詰めることにした。


 ポーション用の瓶は、土魔法で作ることが出来る。私は、また、土魔法に挑戦することにした。

 マナを集めて、掌の上で砂球をつくることに挑戦した。イメージは単純で、砂時計の砂をイメージした。すると、マナは砂粒へと変化した。更に魔力を加えて、ポーション用の瓶をイメージした。


 砂粒は、ポーション用の瓶の形に変わり、更に魔力を加えると、透明になり、完成した。


 出来上がったポーション用の瓶を横に置きながら、もう一度、土魔法を使った。横にモデルがあるので、今度は簡単に作ることが出来た。


 バケツ一杯のマナポーションをすべて入れてしまいたいので、合計100個のポーション用の瓶を作り上げた。


 出来上がった瓶にマナポーションを詰めていった。


 マナポーションの山から1本手に取り、よくなれと思いながら魔力を注いでいると、マナポーションは、更に濃い青色に変化した。鑑定してみると、中級のマナポーションになっていた。


 もう一度、中級のマナポーションによくなれと思いながら魔力を注いでいると、マナポーションは、更に濃い青色に変化した。鑑定してみると、上級のマナポーションになっていた。


 もう一度、繰り返すと、ついに、特級のマナポーションが出来上がった。


 スキル精製を手に入れたようだ。


 残りのマナポーションも、同じ様にすべて特級のマナポーションに精製した。

 

 姉はCランクの冒険者で、ソロでダンジョンに潜っているので、アイテムボックスを持っている。


 初級レベルのアイテムボックスなので、アイテム20個を入れるといっぱいになってしまう。


 仕方がないので、取り敢えず20個だけ持っていくことにした。1本の特級のマナポーションで、総魔力の50%を回復することができるので、20個でも十分すぎる。1度使うと1分間は、他のマナポーションは効果がなくなるので、一度に全快することはできないけど、50%減った時に使うことにすれば、問題ないと思った。


 色々と準備に時間をとったので、ダンジョンに潜るのは明日の朝にした。


 宿屋で、しっかりと夕食を取った後、2人でぐっすりと眠りについた。


 「おはよう! しっかりと眠れた?」


 「はい、お姉さん、しっかりと寝たよ」


 「じゃぁ、出発しようか」


 私達2人は、ダンジョンの入り口で、冒険者IDを見せ、手数料を支払って、門を潜っていった。


 私は、スキル探索を使いながら、魔物の出現に備えながら、姉のキリの後ろを付いていった。


 第1階層、第2階層、第3階層と潜った所で、ゴブリンの群を感知した。総数23匹だ。しかも、中にはゴブリンロードもいるようだ。


 今の私達2人であれば、問題ないので、そのまま、進むことにした。

 

 「行くわよ。準備はいいわね」


 「はい」


 まず、姉のキリが、火壁ファイア・ウォールをゴブリンの群れの先頭・左側・右側と3連続で放った。


 私は、ゴブリンロードを中心に風嵐ウィンド・ストームを放った。


 すると、姉のキリの火壁ファイア・ウォールで、11匹のゴブリンが倒れ、私の風嵐ウィンド・ストームで、9匹のゴブリンが倒れた。


 ゴブリンロードは、特に大きな傷はなく、普通に立っていた。


 範囲攻撃では、威力が半減してしまうようで、中級魔法でも傷をつけることが出来なかった。


 私は、水珠をゴブリンロードの足元に放ち、右足の膝まで、泥沼の中に埋めた。


 更に、水球(ウォーターボール)をゴブリンロードの足元に放ち、今度は左足の膝まで、泥沼の中に埋めた。


 並行して、姉のキリは、残ったゴブリン2匹に火球ファイア・ボールを放ち、倒した。


 ゴブリンロードの動きが鈍い間に、私と姉は中級魔法の火柱ファイア・ポールをゴブリンロードの頭目掛けた放った。


 流石のゴブリンロードも、2人の中級魔法には耐えることが出来なかった。


 大きな魔石が飛び出した。


 私たちは、魔石をゴブリンの右耳を回収した。姉は、マナポーションを一本飲んで、魔力を回復した。


 私達は、第4層の小屋には寄らずに、そのまま、第5層に潜った。


 ここでは、ワーウルフをターゲットにする予定だ。


 スキル探索を使って、ワーウルフを探した。


 (13,115)【単位はm】


の位置にワーウルフ12匹を感知した。


 私達は、静かに右前方へ110m進んだ。そこで、一度止まり、6m前方に姉のキリが火壁ファイア・ウォールを、私が風壁ウィンド・ウォールを放った。


 私達の攻撃で、ワーウルフの大半が倒れた。残ったワーウルフに、火球ファイア・ボールを放ち、次々と倒していった。


 「思ったより、簡単だったね」


と、私は姉のキリに言った。


 「そうね。でも、用心してよ。前回みたいなことがあるから」


 姉の指示に従って、スキル探索を使って、周りの魔物を調べた。


 「今回は、何もいないようよ」


 「そう、それでは、注意しながら帰りましょう」


 「はい、お姉さん」


 冒険者ギルドで、魔物の回収物を引き取って貰い、報酬金をそれぞれの冒険者IDに入れて貰った。


 「妹のキリさんは、今回ランクアップしましたよ」


 私は、冒険者IDのランクDの表示を確認した。


 「よかったね。もうすぐ、わたしと一緒になるね」


 「はい。お姉さんのおかげです。ありがとう」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る