11/3 だんまり

 首だけになった姉は、いつもは飾り棚の中で眠りながら一日のほとんどを過ごす。

 ところが、今日は一日中起きているらしい。

 ぼんやりとした目で、何かわたしには見えないものを眺めているようだ。

「姉さん」

 話しかけると、姉は米粒のような歯を噛みしめて、きりきりと歯ぎしりの音をたてる。

 なんだか、人の言葉を失ってしまったかのようだ。


 明日はいつもの姉さんに戻るはずと祈りながら、わたしは戸棚の扉を閉める。

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