番号116

 警察に助けられたのか。

 それとも面倒を掛けてしまっただけなのか。


 警察署で、かなり長い間あれこれ話を聞かれる事になったけど、夜遅くには何とか解放された。


 その間、僕達はバラバラにされていたので、トマさんがどうなったのか、部長達がどうなったのかも、わからないまま。

 そしてその状態で、僕は残りの夏休みを過ごした。


 過ごさざるを得なかった。


 そして大学がっこうが始まって、部長からポツリポツリと結果だけを伝えて貰っている。


 まず、千馬は失脚したらしい。

 元々、駕籠市でどういう役職についていたのか。そもそも市に関わっていたのか。

 それもはっきりとはしないんだけれど。


 唯一の肉親ということで、幾ばくかは遺産を渡される事になったけれど、本人の望んだ規模ではなかったのは間違いないところだ。

 金額も。権限も。


 駕籠屋十善の遺産はほとんど新たに設立された財団が管理することになって、現在は市政と手を取り合って運営する感じになっているらしい。


 お爺さま――蔦葛さんは「ほとんどは十善の後始末だ」などと嘯いているようだけど。


 そしてトマさんこと鶴城美穂さんについては……何も教えてもらえない。

 伝わっても来ない。


 それでも僕はピースの欠けたパズルを前にして、この平穏に沈んでいくしかなかった。

 諦めを抱きしめながら。


ノーマルエンド


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