番号98

 そのトマさんの叫びが、状況に浸透してゆく。

 咄嗟には何を言われたのか理解が届かなかったけど、

 

「遺言状! ここにあったのか!」


 僕は叫ぶことで強引に理解した。

 トマさんの言葉の意味を。そしてこの状況が大きく変わるということを。


「……う、奪えぇぇぇーーーー!!!」


 千馬が吠える。

 男達もどういう状況なのかすぐに理解したのだろう。


 躍起になって、階段に向かってくる。

 何名かはビルの正面に回ろとしていたけど、それは放っておく。内側からじゃ、あのドアには辿り着けないんだ。


 隙を見て上を見上げると、ドアが開いていた。

 光を浴びて輝いている。


 ドアとそれを隠していた内装との隙間に、遺言状が隠してあったんだな。


 ドアが開いているのは千馬達からも一目瞭然だから、ますます躍起になっている。

 僕や先輩達は放っておいて、目標はとにかく空中階段。僕は横から男達にタックルしたりして、とにかくそれを邪魔しようとするけど、ここでも多勢に無勢の法則が当然の結果を導き出した。


 僕は階段下から弾き出されそうになり、卜部先輩は部長を守りながらだからだろう。

 ドンドン遠ざかってゆく。


 そんな状況でも男達は遮二無二、空中階段に向けてジャンプしているだけだったけど、どんな偶然が働いたのか、一人が空中階段の一番下の段にぶら下がってしまう。


 このままだと、トマさんが危ない!


・卜部先輩に助けを求める。番号96へ


・男の足にしがみ付く。番号84へ

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