番号92

「まだお前が入学する前だな。俺達は崖についての調査で海に行ってたんだ。崖だから当然日本海側だな」

「は、はぁ」


「ちょうど今と同じ夏の頃だったからな。どうせなら泳ぐことになるだろう。泳ぐことになれば良いな、という俺の願いは叶えられた」

「なるほど」


「そしたらまぁ、部長も水着用意してたんだよ」

「ビキニなんですか?」

「お前それは若い。そして甘い」


 いや、それほど年が離れているわけでは――


「何よりエロいのはワンピースなんだよ。単純に肌を露出させているのより、ボディラインが映えるからな。しかもこの時の部長は紫色!」

「む。紫なんですか?」

「そう。それで胸元がエグいぐらいに開いててな。アレは胸が入る水着がなかったんじゃないかと俺は思ってる」


 え? それはつまり……


「まぁ、普通の服でもわかるだろうけど、部長は大きい。それでもアレは着痩せしてるんだ」

「ノースリーブなのに?」

「そうだ。部長はボインッボインッでたゆんったゆんっなんだ」


 「ッ」とか「っ」に英賀先輩のこだわりを感じてしまう。

 そうか……そんなに大きいのか……


「……とまぁ、露天風呂ではそういった光景がよりわかりやすく繰り広げられるに違いない」

「実に神々しい」


 卜部先輩が突然呟いた。


 そういうことらしい。


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