番号83

 トマさんは――今では無くて、僕と一緒にトマソン巡りをしていたトマさんのことを思い出すと、やっぱりドキッとする瞬間はあった。


 それも多々だ。


 夏と言うことで露出はそれなりにあるわけだけど、それに何よりトマさんは距離感がおかしいし、シャツが薄すぎる気がする。


 それに胸元のウサギのペンダントが、よく弾むんだよ。

 本当のウサギみたいに。


 アレはなんとかして欲しくはあった。

 

「トマさんか……お前が惑わされるのもわかる」

「え?」

「いや、お前ずっと夢中だからな。何よりも好きな女の子に夢中になってしまうのは、男としては何と言うか……健康的ではある」

「す、好きとは――」

「決定的では無いにしても、好きになりつつあるだろ? まぁ、そういう現在進行形な状態こそが“好き”というものかもしれんが」


 英賀先輩が何だか理詰めで僕を追い込んでくる。

 卜部先輩も重々しく頷いていた。


 え? これどういう状態だ?


「確かに部長に比べれば胸部装甲に一抹の不安はあるが……」

「それ関係ないでしょ」


 突然の英賀先輩の指摘に、反射的にツッコんでしまった。

 しまった。こんな反応してしまったら……ダメだ。ニヤニヤされてしまう。


「……あるがトマさんは、随分スタイルが良い。それはお前もわかってるだろ?」

「いや、そんなわからず屋相手にしてるみたいな対応されても……」


 だけどまぁ、結論としてはそうなるよな。

 トマさんは、魅力的だと言うことだ、


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