番号71
「そうね。整合性があるってことは、その先に謎があるって事だわ。これはリベンジのチャンスね」
部長は英賀先輩の言葉を受けて、さらにその考え方を発展させた。
だけどリベンジって……
そんな僕の訝しげな気持ちが表情に出ていたのだろう。
部長は薄く笑み浮かべて、
「確かにトマソンだけじゃ、それ以上に謎は深まらなかったわ。でもそこにトマさんが現れた。これはトマさんが鍵になって……とにかく新しい謎よ」
と、最後はグダグダになったが、以前部長達が行ったトマソンの調査について何かしら形に出来ると考えているのだろう。
だけど、それどうだろうか? と、僕は心配になってしまうが……
「それに、トマさんの記憶を探すためにもトマソンを巡ってみるのは悪くない。うちの市だけで巡るなら、さほど手間でも無いしな」
英賀先輩も僕と同じ考えのようだ。
トマソンを巡って調査するのは、きっとトマさんの記憶の手がかりを探すことになると。
ただ、トマソンの調査は駕籠市だけで良いのかな……?
「それは保証できないけど、トマさんがこうして駕籠市に現れてるわけでしょ? まずは手近なところから回りましょう」
僕の疑問に、部長が断定口調で応じた。
確かに、手を広げすぎるのも問題か。というか手を広げることなんて最初から出来ないしな。
僕が確認するようにトマさんの様子を窺うと、眉毛にしっかりと力を込めて頷いてくれた。
この方針で納得してくれたようだ。
「ようし! じゃあ、これから先は前祝いよ。相談も済んだことだし、明日からの調査に向けて英気を養いましょう!」
そして部長の檄が飛ぶ。
それを合図にして、僕たちは大いに飲み、そして食べた。
それからおおよそ三時間ぐらい――
会計を済ませて――部長がトマさんの分と合わせて半分ぐらい出してくれた――外に出てみると、気温は相変わらず下がらないままだった。
いきなり現実を突きつけられたようで、げんなりしてしまう。
そしてそんな僕に、部長は本当の意味での現実を突きつけてきた。
「それじゃあ、トマさんは私の部屋に来て貰うわね」
「え?」
「え? じゃないわよ。常識的に考えてみれば、そうなるでしょ?」
た、確かにトマさんは同性の部長のところに行った方が良いんだろうな。
でも、トマさんは不安そうに僕を見つめている。
果たして僕は――
・確かに部長の言うとおりだ。トマさんとは明日からの調査で一緒に頑張ろう。番号20へ
・それでも僕はトマさんと一緒にいたい。番号27へ
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