番号15

 そして僕達は再び公園へ。

 自分の部屋に帰って来たのと変わらないな。ちょっと家に寄るのも良いだろう。


 しかし暑さに、蝉の声までまるで昨日をコピペしたような変化の無さだ。

 調査には最適だと諦めるしかないな。


 さて改めて、ロープの外から空中階段を見つめる僕達だったわけだけど。


「う~ん、やっぱりトマさんはここから落ちた気がするんだよね」


 どう考えても、それが蓋然性が高い気がする。

 トマさんは昨日気が付いたときに、空中階段をスルーしてしまった事を気にしていて、この公園の調査には積極的ではあったんだけど……


「何か……確かに引っかかる気はするの。でも、記憶を失うほどの“何か”があったんだから、それは当然って気もするし――」

「それは……確かに」


 反論も許されないほどの説得力の高さ。

 問題は、ここからどう一歩踏み込むか、だな。


「……それとね」


 僕の内心の決意に応えるようにトマさんは言葉を継いだ。

 胸元のペンダントを握りしめながら。


「昨日、あたし、なんだかおかしくなってる気がするって言ったでしょ?」

「ああ、うん」


 確かにそんな事を言っていた。


「それがもし記憶をなくす前から、そんな感じだったら? って考えてみるの。そうするとここで改めて階段登るのも――」

「ダメだよ! それは止めるよ」


 そんな事考えていたのか。


「大丈夫だよ。だから改めて登るのはやめておこうって……登ったかどうかはわかんないんだけどね」

「それがいいね。やっぱりこの公園は鍵になりそうな気がする。調べるなら先輩達にも相談して慎重にやろう」


 それが最適だろう。

 つまり現状ではそれが精一杯。


 あとは部屋によって、水分補給と休憩を済ませて――


・階段型トマソンを確認。番号22へ


・欄干に沿ったトマソンを確認。番号39へ


・もう十分回った。番号46へ

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