8 鉄扉・北条side

「はい、父さん。」

こうして地獄の1年半が始まった。父さんのズボンのポケットから着信音が鳴った。「ん?はい。……ああ。ああ。うん。…わかった。」携帯を閉じて、突如何も言わずに目隠しをされ、縛りを解いてなぜか倉庫に出された。外に出た瞬間、突如何かが腕に刺された。すると眠くなり意識が薄れていく。うっ。んぅ。ハッ!気づいたら家にいた。朝7時。私はベットに寝ていた。どういうこと?これから2日間あの灰色の倉庫で食事と風呂抜きで縛られて理不尽な勉強をさせられるはずでは。起き上がっても全く理解できなかった。なぜ私は再び家に連れ出してもらえたのか。部屋のドアが開く。ガチャ。!。「母さん?」いや、父さんだった。

「少し事情が変わった。」え?「どういうこと?」「母さんからで、倉庫で1ヶ月も勉強させると周りの住民やお前の大好きなメイお婆さんに怪しまれるからね。だから、流菜には学校に通うのは可能とすることにした。」1か月もあの倉庫でやるつもりだったのか。自然と恐れが湧き上がり、体が重くなる。「よって、夜8時からそれまで学校や家で勉強した部分の問題をクイズ形式で確認する。それができなければ痛い目に遭わせる。毎日だ。いいな。そして、学校や地域住民、親戚等にこのことを言ったら、これ以上はないと思え。ちなみに言ったら僕や母さんに状況的に周りから敵視され、明らかになる。すぐわかるからな。」っ!「わかりました。」

学校から家へ帰ると、2階にある私の部屋のドアに紙が貼られていた。今日クイズ形式で出される試験内容だ。学校で勉強した部分だ。国語の漢字、算数、社会が出題される。ハァー。外で図書館行ってゆっくり小説読みたいなぁ。それに新しい服や靴も欲しい。でも、1番は友達と遊びたい。私には学校で友達はいない。無論、両親が地元で有名な人からか、あまり同級生は私に近づけないのだ。力のある家系には対抗できない。また、嫉妬されるのも事実。恵まれた家柄ことへの。「お金に困らないんでしょ?」「将来は医者?」「世界中旅行できたり、欲しい物いっぱい買えるんでしょ?」学校に行けば、周りから色々言われる。嫉妬が原因かはわからないが、いじめもよく受ける。靴に洗剤か漂白剤の液体が大量にかかっていたり、机の引き出しに画鋲がばら撒かれたりとやけに陰ながらないじめが多い。暴力を振るうや階段から突き落とすといった過度なものはなぜかなかった。その辺も私の家系故だろう。私がそれで傷付いて両親が学校に訴えれば、先生も生徒も太刀打ち出来ず強引に校則を厳しく出来るからだ。

特に父さんは超裕福な家系で育ち、現在も変わらない。新聞やテレビにもよく載り、世界的にも注目されていた。こうして、夜8時、試験が始まる。コンコン。「流菜、部屋に入るぞ。」ドアを開けていつもと違う雰囲気、まるで殺人でもするような真剣過ぎる顔つきで入る。「今日の試験を始める。まずは算数だ。123×251は?」えーっと。紙とペンを出して計算する。書き出した刹那、腕が強く握られた。「えっ!?」「暗算でやるんだ。それと10秒以内に答えるんだ。」えーと、1から計算して123で、5は15、10、5、2は6、4、2。これらを足して…。「時間切れ。」「くっ!無理だよ!! 10秒で暗算なんて!私は父さんや母さんみた」突如顔に痛みが走る。?私は一発殴られていた。一瞬訳がわからなかった。気づいてやめてと言おうとした時には顔とお腹を拳や膝などで集中的に殴られていた。溝に入った時は苦し過ぎてさっき夕飯で食べた物が喉まで来て吐きそうだった。我慢してる瞬間、顔を蹴られた。父さんは何か言いながら、殴っている。段々意識が。なくなる。


〈?時〉

身体の痛みで起きた。っ!ここは。また倉庫に?私は再び倉庫で椅子縛り座っていた。右目が腫れて片方の左目だけ見える。歯に血の味がするしジンジンして痛い。お腹も腕も顔も。ガチャ!目の前の鉄扉が開く。父さんと母さんが立っていた。嫌悪していた眼差しで。「起きていたか。寝て半日経過した。流菜、残念だ。」すると、母さんが無言…私の側まで来て足とお腹の縄を解いた。ただ、腕には新たに天井から鎖で繋がった金属の縛りを加えられた。「よって、いない者とする。」は?話そうとするが、口も腫れていて話すことができない。「着替えや食事、身体を清潔にすることは1日一回家政婦が来て世話をしてくれる。それは血のつながった娘故の情けだと思え。さよなら。」父さんは後ろへ振り向いて歩いていった。母さんを見る。「私も残念だわ。同じ者かと思って信じていたけど。いつかここを出たら私の母、メイおばさんに頼りなさい。いつかね。精神を保っていられるかわからないし、出られないかもしれない。それじゃ、さよなら。流菜。」冷酷した物言いで鉄扉を閉じ、カツンカツンと音が去っていく。

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