2 0から1へ、1から2へと・・・
僕の無気力な生活が変わらないまま、周りの日常は徐々に変化していく。悲しいことにそれが現実である。ある者は就活に専念し始め、また、ある者は自分の夢に向けて資格取得や新しい取り組みを始めて行動する。みんな限りある時間を余りなく消費させる。お金に関しても、非常にまずい状況だ。ある程度貯金に余裕が出来ていても、奨学金という莫大な借金を抱えている。それも、毎月借りて生活していることから、後々返す額が膨れ上がっていく一方だ。返す方法は色々あるが、一番安全な方法で返していっても最低4万は固定で返さなくてはいかない。それを約20年も継続しなければならないのだ。学ぶ権利は誰にでも自由にあるはずなのに、なぜここまでの費用が必要なのかと、やるせない気持ちになる。これがお金持ちな家柄や貯金をずっとしてきて奨学金を借りなくても生活できる者は心底羨ましい。そもそも人生のスタートラインが違うのだ。この時点で不公平で理不尽だと感じる。だからといって、ずっと他人と比較しては無意味である。むしろ、貴重な自分の人生の時間を消費してしまう。現実的なことを久々に考えたら、精神を病み、絶望した。けれども、不思議と活力がわいてくる。こういうのが生存本能だろうか。徐々にどうしたらいいのか、どう動くべきかを考えるようになり、気づいた時には精神を病まずに生活していた。人は追い込まれると自分の力を発揮する。
そうして1年が過ぎ、僕は地元で懸命に働いていた。
大学は学費や奨学金が掛かる観点から退学した。働き先が確定するまでは必死にバイトをした。バイトのみでは困難な生活だったが、なんとかやり過ごせた。とにかく安定した暮らしをしたいとよく思っていた。そんな中、親が「実家で暮らしていいよ。」という提案をされ、すぐさま受け入れて2か月後には地元で実家暮らしを開始した。親にあまり相談しなかったため、地元に帰るのが遅れたのは少し後悔している。それから自動車学校に通って1か月半で免許を取得した。働き先も2か月ほどで決まり、無事に就職できた。働き先は地元で少し有名な家具店だ。客人と接客して家具の取引を行い、成立すれば社用車で運び、家やマンションに設置する。忙しい時期もあって大変だが、実家暮らしなこともあって経済的にも安定している。借金も少しずつ減っている。ただ、地元に帰った時嫌でも高校や中学の同級生と遭遇するため、気まずい。今でもそれだけが少々ネックだ。でも絶望にふけっていたあの頃よりは自立したかもしれない。「これが大人になることなのか。」と僕は実感する。しかし、そう思っていたのも束の間。ある悪夢と出来事が私に起こる。これから全てが変わる。
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