第3話 遭遇

 櫂がだしてくれたクッキー缶を2人で食べていたら私のスマホから通知が入った。



 "HPがMAXになりました"



 やばっ。


「櫂ごめん。やることあるからもう帰るね。」


「わかった。今日はありがとう。残りのクッキー持って帰る?」


「えっ、いいの?ありがとう!」


 櫂は、食べかけのクッキー缶と、まだ何缶かあるからと言って新しいクッキー缶を綺麗な紙袋に入れて持たせてくれた。


 「ジュースとクッキー、ありがとうね。お邪魔しました。」


 はやくHP消費しなきゃ。


 「こちらこそわざわざ来てくれてありがとう。下まで送るよ。」


「大丈夫だよ、ありがとうね。」

 

 はやくHP消費.....、


「あっ。別に強制はしないけど気が向いたら学校来れば?私いるし。じゃあね。」


 気持ち急いでエレベーターの方に向かうと、男性が無言でエレベーターを待っていた。


 ここの住人だろうか。挨拶はした方がいいかな。


「こんにちは。」


 私の挨拶に男性が振り向いた。その人の顔が見えた瞬間、私は挨拶をしたことを後悔した。


 私は気づいたら急いで櫂の部屋の方へ走って戻っていた。


 そして男性は追いかけてくる。


 私は見てはいけないものを見てしまった。なんで"あの人"が?


 櫂の部屋の前のドアについたけど、インターホンを押して待っている間に追いつかれてしまった。

 

 警戒心剥き出しでゆっくり私に近づいてくる。


 やっぱりそうだ。追っかけてない私でも分かる、というか知らない人の方がいないだろう。


 国民的男性アイドルグループ、

 "AZURE" (アズール)の

 清水 岳(しみず がく)だ。

 

 



 

 


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