第24話『完全無欠の美女③』

「良かったんですか?彼」


あの後、奪った槍を項垂れたアルバートの前に置いたが襲われる事はなかった。


「いいさ、伯爵家だからと入学時から横柄おうへいな態度が目立った。自身が力を持っていると勘違いしてる奴を相手する必要などないよ」


やれやれとわざとらしく首を横に振る。

コウは学園長室へと向かいながら雑な案内を受ける。


「あっちが図書室、その先は医療室・・・」

(止まりもせず説明していくな、魔術はあんな正確で繊細だったのに・・・)


立ち止まる事なく案内が終わり、2人は学園長室へと辿り着いた。

中は真ん中にテーブルとソファ、おそらくは応接室も兼ねているのだろう。

壁一面に高い本棚が並び、囲まれる形で奥に机があった。


「何もないだろう?無駄な物は置かない主義でね・・・よっと」


ユーリは帽子をローブを脱ぐと机の隣にあるポールハンガーにかける。


「ちょ、何て格好してるんですか!?」


コウは焦って目を逸らす。

ユーリのローブの下は黒のビキニ姿だった。


「何だい?動きやすくストレスの少ない格好こそ戦いやすいと言うものだろう」


まるで気にしないユーリはソファへと横になる。

促されコウも向かいに座るが、なんとも何処を見ていいかわからない。


「さて・・・と、まずは我が学園にようこそ、君の様な貴重なじっけ・・・人材は大歓迎だ」

(実験体って言おうとしたな)

「何て顔をしてるんだい?もっと喜んでくれていいよ?」

「まぁ、ありがたくはありますけど・・・」

「君にはここで学ぶ事は少ないかもしれないね、記憶喪失の君に必要なのは基本的な知識みたいだし」


そういうとユーリはストレージからコーヒーを取り出した。


「どうぞ」

「ストレージ?」

「おや、言ってなかったね。私は空間術が使える。便利だよ、私の魔術の可能性を飛躍的に向上してくれた!」


突如、コウの真後ろから何かが頭目掛けて飛んできた。

即座に察知したコウはそれを掴む。

掴んだ物を見ると、それは角砂糖だった。


「お見事!」

「これは、あなたが?」

「あぁ、空間術の一つ『ポータル』だ。手元のゲートを別の場所に繋げる術だ」


ユーリはわかりやすい様にコウの前に2つのゲートが現れた。

ゲートはストレージと違い枠が四角い。


「サイズは自由に変える事が出来る。そして、こうやってゲートを通す事で・・・」


ユーリがゲートに腕を伸ばす。

ゲートの中に入れた腕は残ったゲートから現れた。


「それで俺の後ろから角砂糖を投げたんですね」

「そういう事」


ゲートの距離はポータルのレベルによって異なり、維持するには毎秒マナの消費が起こる。

ゲートの数は無制限だが、当然マナはその数分消費していく事になる。


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PV4000突破しました!

ありがとうございます!

記念に本日は追加の更新させていただきましたw

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