第20話『いざ、学園へ④』

頑鉄を後にしたコウは、再び解体場へとおもむいた。


「お待たせしました!解体終わってますよ」


ギルドカードを受け取り解体した魔獣・魔物の登録を行なっていく。

その後、解体した素材が並べられたテーブルに案内された。


「こちらが解体した素材で、まずは魔石、次に角・骨、次に皮、次に肉になります。衣鳥は羽がパン粉と同じなのでそのまま丸揚げが基本ですから内臓だけ取り除いてます。必要無い物はこのまま買取りさせてもらいますね」

(まだそれぞれの価値が分からないしなぁ、とりあえず全部貰うか)


綺麗に洗われた素材にトリミングされた肉、ストレージにしまえば劣化も防げる為、全て引き取る事にした。


「血抜きもされていたし、傷も少なくてやりやすかったですよ!またよろしくお願いします」


解体場を後にしたコウはそのまま冒険者ギルドへと報告に向かった。

偶然とは言え、森の中でゴブリンを狩っていたおかげで依頼達成していた為だ。

受付にてギルドカードで依頼を完了した事を確認してもらった。


「こちらが今回の依頼料になります」


ニードルラビット5羽の討伐で銀貨5個7枚と銅貨5枚、ゴブリン10体の討伐で金貨3枚となった。


(この調子で依頼こなせれば生活には困らないな、これなら週休4日もいけるんじゃ・・・)


誰もが夢見る週の半分以上を休みに費やす。

異世界という場ではあるがそれが叶いそうで内心ワクワクするコウ。


「コウ君」

「シルバさん、こんばんは」


ツキノワで夕食をしている中、シルバが声をかけてきた。


「どうしたんですか?わざわざここまで来て」

「以前お話しした学園の手続きが出来ました。急で申し訳ありませんが、明後日に学園へ行ってほしいんです」

「随分早く手続き出来たんですね」

「君の話しをしたら、学園長が大変興味を持ちましてね。最優先で手続きをしてくれました」


学園長はかつてシルバと同じSランク冒険者であり、英雄パーティーの1人なんだそう。

向上心の塊で、今だに自身の成長に余念が無い。


「こちら推薦状です、私の印が入ってますから偽物でない事はすぐにわかります。門にいる警備の者に出して下さい」


シルバから推薦状を受け取る。

当日は、学園長が学園内を案内するらしい。

コウにとっては学校で保護者同伴は少し恥ずかしかった事もあり、助かる限りだ。


「それでは、私はこれで失礼します」


後日、コウはサンクチュアリ学園の正門に来ていた。

推薦状の効果は強くあっさりと中に入る事が出来た。


「・・・流石は異世界、ひっろいなぁ」


都市の中心部に位置するこのサンクチュアリ学園は、敷地の広さだけなら前世の夢の国を想わせる程の広さだった。

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