第18話『いざ、学園へ②』

「さて、まずは素材だな。オーダーメイドの場合、本人に材料となる素材を集めてもらう」


鍛冶場に戻った2人はコウの刀を造る為、素材について話し合っていた。

オーダーメイドでの武器・防具を造る際、基本的な素材以外は必ず依頼主が素材を用意する事になっている。

代わりに法外な額の依頼料・製作料を請求される事はない。


(ここは異世界、もしかして・・・)

「出来るだけ強度が高い物は造れますか?基本的に攻撃は避けるし受け流しますが、万が一の時に防げるだけの物が欲しいんです」

「刀であるなら、基本的には鉄の上位に当たる玉鋼たまはがねが必ず必要になる。ミスリル以上の鉱石を混ぜるか、日緋色金ひひいろかねを使うか・・・」


武器・防具に使用する鉱石の中には鉄・鋼・玉鋼たまはがね・ミスリル・日緋色金ひひいろかね・アダマンタイト・オリハルコン・メテオニウムがある。

量産品として出される物は主に鉄と鋼、刀には玉鋼たまはがねが使われる。

高級品、オーダーメイドにはミスリルやアダマンタイトが一般的だった。


「とは言え、日緋色金ひひいろかねなんて滅多に見られるもんじゃねぇ。そういえば、ドラゴンを狩ったんだったな?そいつの骨と鱗を使わせてくれりゃぁまともなもん打ってやれるぞ」

「なるほど、じゃぁまずはドラゴンを解体してくるか」

「おぅ!そうしな」


ひとまず新たな武器の手配は何とかなりそうだ。

2人はそのまま店の方へと戻るが、コウは妖刀の前で立ち止まった。

「ねぇ、この刀はあなたが打った物?」

「・・・いゃ、それはワシがこの国に来る前に見つけた物だ」


テンゴクは元々ジポンで刀鍛治として暮らしていたらしい。

弟子が独り立ちしたタイミングで自身は新たな地を求めて旅を始めたそうだ。

様々な場所を旅していた所、あるパーティーと共に入ったダンジョンで妖刀を見つけたらしい。

妖刀とわかった事とその時の報酬一切無しにした為、譲り受けたとの事。


「こいつは斬れ味が良く、自己再生機能がある。折れようが砕けようが鞘に納める事で元に戻る」

「凄い・・・でも、妖刀って事は危ない何かがあるんですよね?」

「あぁ、鞘から抜くと『狂気』の呪いが付く。狂気は正気を失わせ欲望のままに人を襲う」

「詳しいんですね」

「妖刀『夜桜よざくら』、かつて初代テンゴクが打ったとされる刀の一振りだ」

「初代?」


テンゴクが言うには、『テンゴク』と言う名は襲名の名前だそうで、今のテンゴクは二代目らしい。


(襲名性・・・もしかして、テンゴクって天国あまくにの事じゃ・・・)

「小僧、欲しいか?」

「え?」

「顔に書いてあるわ」

(おっと、バレてる・・・)

「抜いてみろ、但し鞘から完全に抜ききるな。狂気の状態が制御出来ないとわかれば力づくで奪ってやる」

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