第14話『緊急イベント発生②』
「さて、まずは試してみるか」
-空間術『ストレージ』-
コウが手を突き出すと、魔導文字が刻まれた丸い枠が現れた。
枠内は真っ黒な空間になっており、手を入れるのを少し拒ませる。
「ブラックホールってこんな感じなのかな、見た事ないけど・・・」
恐る恐る手を伸ばし空間内に入れる。
すると、脳内に果てしない列が現れた。
(ゲームのアイテム覧みたいなものか、果てが見えないのはステータスのせいだな)
購入した物をゲートに入れる。
脳内の列に次々とアイテムが並び、それぞれのアイテムの名前と端に個数が表示される。
取り出す際も、並んだアイテムを脳内で選ぶと手の中に現れた。
「便利なスキルだ、確かにこれがあるなら重宝されるな」
スッキリした所で、入り口の兵士にギルドカードを提出し、依頼の為の出門の確認をしてから王都を後にした。
ギルドで主な出現場所を確認していた為、迷う事なく目的地まで向かう事は出来た。
コウがまず狙ったのはニードルラビット、比較的フルーンの近くの草原に生息する魔獣である。
草食なので人は襲わないが、町や村の作物を食べてしまう上に食事を邪魔する人に対しては額の角で突進してくる厄介物なのだ。
「そういえば、ニードルラビットの肉は結構高かったな・・・出来るだけ傷付けずに倒すか」
手にした刀の感触を振りながら確認し、周りを見渡す。
見渡しのいい草原ではあるが、所々に岩や伸び切った雑草、身を潜める箇所が無数にある。
気配を探り身を屈める。
手にした刀を脇構えに構え、気配を殺し一気に駆ける。
(気づかれた、動物の勘は鋭いなっと・・・)
草原から飛び出した獣の首を断つ。
鳴き声を発する間もなく綺麗に別れた頭と胴が落ちる。
(何か、急に速くなったな・・・)
「これがニードルラビットか、うさぎか猫くらいのサイズを探ってたけど当たりだったな。傷付けるつもりなかったのに思わず両断しちゃったな・・・」
額の角と依頼書に載っていた絵を確認し、血抜きの為に近くの木に吊るした。
地球で見つかれば大炎上ものだろうなと考えながら、しばらく休憩する。
血の臭いに釣られたのか、何度か鳥の様な魔獣がニードルラビットを襲ってきたが、悉くコウの刀の錆となった。
それらの血抜きも終わり、それぞれストレージに入れた。
ストレージにはニードルラビットの名前と共に
(そっか、名前が分からなくてもストレージに入れればわかる様になるんだ。やっぱり便利だな)
討伐数を数羽超えた辺りですっかり日は落ち始めていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます