第11話『定番の頑固な刀鍛治①』

(貴族のなんたるかは俺にはサッパリだからな、ここはシルバさんに従っておいた方が良いだろう)

「分かりました、ありがとうございます」

「さて、この後はどうします?」

「せっかくなんで、何か依頼を受けてみようかと・・・」

「良いですね。依頼は複数件受けられますが、完了期限がありますので気をつけて下さい」


クエストボードを見ると、午後にも関わらずまだ依頼書が数枚ぶら下がっている。


(ランク毎にわけられてるな、Dランクは討伐の依頼が多い・・・これにするか)


コウはゴブリン討伐とニードルラビット討伐の依頼書を取り受付へ向かった。


「コウさん、依頼を受けるんですね」

「えぇ、よろしくお願いします」

「はい、まずはお受けする依頼書ギルドカードの提出をお願いします」


リンは依頼書とギルドカードを受け取ると後ろに置いてあるパソコンの様な物を起動する。

恐らくコレも神の遺産アーティファクトだろう。


「はい、ギルドカードに依頼書の登録が完了しました。こちらはそれぞれ3日間の依頼完了期限が設けられています。討伐依頼の場合、討伐数が記載されていますが、ギルドでは素材買取りがありますので記載しれた数を超えても問題ありません」

「わかりました」

「それと、万が一討伐完了期限を過ぎてしまった場合は依頼金は無し、素材は買取りますが、場合によって罰金が発生してしまう事もあるのでお気をつけ下さい」

「わかりました。素材の買取りって討伐した魔物や魔獣をここへ持ってくるんですか?」

「いぇ、この都市の入り口に専用の解体場があるのでそちらにお願いします」


魔物や魔獣をそのまま街中に入れてしまえば、臭いや見慣れていない人のトラウマにもなりかねないからだと言う。

討伐の場合は傷などで臭いが周囲に広がり、血抜きせず運び出せば血溜まりや道に血が染み付いてしまうので専用の場所を設けた。

素材は解体したのち、細かくわけて持ち込んだ本人に渡される。

その際に解体場で素材の買取りも受け付け出来るそうだ。


(討伐した魔物や魔獣を解体場に持ち込む・・・複数体を一気に運ぶのも大変だし、ソロでやる人の為に長い期間を設けてるのか)


「以上が依頼の簡単なご説明になります」

「ありがとうございます。1つ聞いていいですか?」

「はい、何でしょう?」

「武器が欲しいんですが、おススメのお店があれば教えてほしいんです」

「それでしたら・・・」


冒険者ギルドを出て煙と油の臭いのする地区へと向かった。

この地区は鍛冶場や武器・防具、錬金術によるポーションの販売など冒険に必要な物が揃う店が軒並み連なる。

その中にある店の間の細道を進んだ先にある武器・防具店『頑鉄』。

鍛冶場が隣接してるのかカンカンと鉄を叩く音が響き渡る。


(この音・・・)


少し重めのドアを開くと、備え付けていたベルが鳴る。

奥のレジであろうカウンターに突っ伏していた女性が反応して音に気づいて飛び起きた。

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