第5話『チート能力がチート過ぎた①』

コウは『フルールの歴史』と書かれた本を開く。

中にはこのアークラムが誕生してからのフルールの歴史が絵本の様に描かれていた。


(誕生は今から3000年前・・・とは言え、生物が産まれたのがここ数千年前だから正確なものかは不明・・・か)


今から数千年前、複数の種族がこのアークラムに産まれた。

それぞれの種族は、自身の住みやすい環境を求め散り散りになり、そこから数百年余り自分達が繁栄する為に衝突する事無く日々が過ぎていった。

だが、それも永くは続かなかった。

子孫が繁栄していく内に、必要な土地が拡大。

それに伴い今まで使われていない土地だけでなく、他種族が住む土地まで奪う者が現れた。

各種族はそれぞれに手を組み対立『種族戦争』と呼ばれる戦争が引き起こされた。


(種族はそれぞれ『人族』『ドワーフ族』と『魔族まぞく』『獣族けものぞく』に分かれてたのか・・・)


人族はドワーフ族の作った装備を手に、魔族は魔術や呪術を、獣族はその肉体を武器にそれぞれ戦った。

特殊な力を持つドワーフ族の装備を持つ人族は互角に戦うも、次第に劣勢となる。

戦争が始まり数ヶ月が過ぎた時、人族に希望が現れた。

後に初代フルール王となる『フルール』本人である。

戦時中に産まれたフルールは、幼い頃に両親を失い、その魂に惹かれた妖精族ようせいぞくの導きでエルフ族に出会い育てられた。

元々中立の立ち場にある両種族に育てられ、フルールは魔族と互角以上に戦える程の力を手に入れる。

戦争を終わらせる為、両種族の力を借りフルールは初代魔王・獣王との死闘を得て力を認められ、見事戦争を終わらせた。


(その後、各種族との話し合いにて大陸を4つに分けてそれぞれの種族で統治・・・次第に別種族同時で生活する者も増え始め今に至る・・・か、絵本だしこんなものか・・・)


長編の絵本の様だが、大まかな歴史を知る事は出来た。

そこにいたる細かい事は今は知らなくてもいいだろうと考えた。

コウは本を閉じるとすぐに『冒険者の手引き』に手を伸ばす。


(ギルドカードが出来たらすぐに依頼を受けたいし、これで予備知識が得られれば良いけど・・・)


目次には、冒険者の主な仕事や各種族の特長、オススメのスキルや武器屋などのスポットが掲載されていた。


「なんか、雑誌みたいだな・・・」


かつて呼んだ情報誌を思い出しながら、コウは1ページづつ読み進めていく。


(やっぱり、冒険者の仕事は護衛・探索・搾取・討伐が主になる・・・か。この辺はゲームの知識が多少役に立ちそうかな)

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