第4話『UNKNOWN④』

副ギルドマスターのミレイユに連れられ冒険者ギルドのシルバの部屋へと案内される。


「お久しぶりですね、コウ君」


相変わらず笑顔のままのシルバの横にミレイユが移動する。


「お久しぶりです。わざわざ迎えに来てもらっちゃってすみません」

「いぇ、私が迎えに行くと行ったのですが、ミレイユに止められまして」

「当たり前です。ギルドマスターが簡単に一冒険者に肩入れし過ぎるわけには参りません」

「厳しいですね、ミレイユ・・・さて、本日来てもらったのはコウ君の選択ジョブについてです。以前適正ジョブにて『UNKNOWN』と出ましたが、未だかつてその様なジョブが出た記録はありません。その為、各国のギルドとの話し合いにより・・・『UNKNOWN』を選択ジョブとして選択する事が許可されました」


そうは言われたが、コウには既に創成者のジョブが付与されている。

このまま登録した場合、果たしてどうなってしまうのか・・・


「・・・ちなみに、選択ジョブってステータスに表示されるんですか?」

「えぇ、ステータスに影響を与えるものですからね、表示としては左に適正ジョブ、右に選択ジョブが表示されます」


シルバの説明によると、ステータスのジョブの部分に


・ジョブ『・・・』/『・・・』


と、なるらしい。

それならば元々の創成者と被る事はないだろうと考えたコウは、そのままUNKNOWNを選択ジョブとする事にした。


「それでは、こちらに必要な事項を記入していただき、血を一滴この中に入れて下さい」


ミレイユに差し出された紙に名前等記入していく。

とは言え、出身地など全くわからない為、相変わらず記憶喪失を装いわかる部分のみ記入していく。

最後に小さなコップに針で指を刺して血を垂らした。

ミレイユはそれらを受け取ると部屋を出た。


「ギルドカードの作成には少し時間が必要です。明日の受け取りも出来ますが、どうしますか?」

「ギルドの資料室で時間を潰します。丁度調べたい事もあったので」

「そうですか。では、ギルドカードが出来次第資料室へ持って行く様伝えておきましょう」

「ありがとうございます」


ギルドマスターの部屋を出たコウは、ギルドの2階にある資料室へと向かった。

本当は早めに行こうと思っていたのだが、いつシルバから呼ばれるかわからなかった為、出来るだけ外出を控えていた。


(ここなら、ある程度この世界の知識を得られるよな・・・とりあえず、背伸びせず子供向けのから見ていくか)


どんなに精神年齢が大人でも知識は子供以下である以上、無理しても仕方がない。

まずは初心者冒険者向けのコーナーから何冊か選んでテーブルに並べる。


(フルールの歴史、冒険者の手引き、大陸地図・・・まずはこの辺りからかな)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る