第21話『1日の終わり、人生の始まり』
「どうでした、何かわからない事ありました?」
コウが一階に降りると、カールが声をかけてきた。
「カールさん、トイレに付いてたガラス玉みたいなのは一体何です?」
「何だ、そんな事も知らねぇのか?」
「父さん、ヤガミさんは記憶喪失だってギルドマスターが言ってたじゃないか。だから今日の分のお代はいらないって言ったの父さんでしょう」
「そうだったな!わりぃわりぃ!」
ボンノはカラカラと笑うと奥の部屋へと消えていった。
「全く・・・父さんがごめんなさい。あれは
「凄いですね、魔石って・・・」
「難点は能力を宿す魔石は高いので、中々手に入らない事ですね。通常の魔獣や魔物は
どうやらボンノはカールが生まれるまで、Aランク冒険者として活躍していたらしい。
カールが生まれた事で冒険者を辞め、冒険者を支える為にこの宿を始めたそうだ。
「それでここは冒険者が多いんですね」
「冒険者ギルドには
カールとの談笑事、浴場へと向かったコウ。
西洋風の外観だったが、中は近所にあった銭湯の様に真ん中のカウンターの左右に男女のマークが付いた扉があった。
「いらっしゃい、お一人銅貨6枚だよ」
カウンターに座ったお爺さんが読んでいた本から目線を外してコウを見る。
「タオルがいるなら銅貨2枚だ」
コウは持っていた袋から銅貨を出す。
番号が書かれた鍵を受け取ると更衣室へと向かった。
(良かった、中は普通に銭湯と変わらない。周りの人達は他種族も多いけど、銭湯のルールは同じっぽいし・・・)
掛け湯をして体を洗う。
シャワーはないが、お湯と水は出る様で、トイレと同じく魔石が組み込まれていた。
「あ〜、やっぱり風呂は足伸ばせる位広いのが良いよなぁ」
人が少ない為、目一杯足を伸ばして背伸びする。
(転生初日で色々ありすぎだ・・・まだまだ考えなきゃいけない事も多いし・・・)
「でも、やっぱり生きてるのっていいな・・・」
明日は何をするか。やる事は山積みだが、それですらワクワクするコウ。
新たな世界で二度目の人生は始まったばかりである。
第1章『新たな世界と転生者』完
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