第20話『地球とアークラム』
(中世の見た目だけど、屋台の食べ物や雑貨なんかに地球と同じ物が多いな・・・)
宿に向かう途中で、目にする屋台には焼き鳥の様な物や、ホットドッグの様な物が売られている。更に店の中を覗くと、箸や茶碗が鮮やかな装飾のカトラリーと共に並んでいた。
(ファンタジーやゲームを混ぜて、地球をベースにした世界・・・なんだろうな・・・)
そんな事を考えながら宿に到着した。
「熊のマーク、ここだな」
熊のイラストが描かれた看板には、『ツキノワ』と書かれていた。
街中にある二階建ての建物は、治安の良さもあり中から賑わいの声が聞こえる。
コウがドアを開けると、夕食時だったのか、広々としたロビーに設置された食卓を宿泊者達が囲んでいた。
「いらっしゃいませ!」
食事を運んでいた獣族の男性がコウに気づき笑顔を見せる。
見ると、熊の様な耳が生えている。
(熊・・・)
「どうしました?もしかして、迷子?」
「あ、いぇ、冒険者ギルドのシルバさんからこの宿をすすめられて・・・」
「ギルドのマスターから?お待ち下さい。父さん!」
男性が奥の部屋へと向かうと、2メートル近い大男が現れた。
彼にも熊耳が付いているからか、迫力があるが愛らしい。
「お客さん、名前を聞いてもいいか?」
「コウ・ヤガミです」
「シルバさんから話しは聞いてる。はは!本当に子供だったのか!」
大男はコウの背中をバンバンと叩いて笑う。
バランに似て豪快な人の様だ。
「俺は見た通り
(見た目は人と変わらないんだな、熊耳付いてるけど・・・遊園地でカチューシャ付けてる親子みたいだな)
「ギルドマスターからの紹介だし、少しまけておいてやるよ!カール、夕飯出してやれ!」
「わかった、好きな席でお待ち下さい」
「ありがとうございます」
その後、コウは夕食を済ませて部屋へと案内された。
部屋は地球でのビジネスホテルと変わらず、ベッドに机と椅子、服が掛けられるポールハンガーが置かれていた。
「トイレは・・・普通に洋式だ。こういうシチュエーションだと大抵和式だったりするけど、技術的に結構発展してるのか?」
トイレはプラスチックの様な素材で出来ており、少し大きめなビー玉の様なガラス玉が埋め込まれている。
「風呂は街に銭湯があるって言ってたな・・・」
部屋や宿には浴槽はなく、街に施設が複数店存在するらしい。
誰でも気軽に入れるが、浴室を持つ者は貴族などの一部だけだった。
(地球との共通点も多いから、生活には困らなそうだ。違いをしっかり覚えていかないと、後々トラブルになりそう・・・明日はギルドに依頼を受けにに行きながら情報収集だな!)
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