第18話『やっちまった転生者②』

「えぇ、召喚術はその魔獣や魔物を倒した際に出る魔石を媒介に魔力で姿を固定し使役します。その大鷲が召喚術によるものならば、術者は相当な力を持っていますね。その件は冒険者ギルドが預かります。調査の結果が出るまでは他言無用でお願いします」

「あぁ、わかった。俺達も異変があったらすぐに伝えるよ」


バラン達の件は冒険者ギルドにて調査を行う事が決まった。


「じゃぁ、報告は終わったし、俺達は飯でも食ってくるか!」

「じゃぁ、俺は依頼でも見てみるかな・・・」


バラン達が部屋を後にしようとしたその時・・・


「コウ君、まだ話しは終わっていませんよ?」

「え?」


シルバに呼び止められたコウは、結局その場に残され、シルバと対峙する。

笑顔が怖い・・・


「さて・・・改めて、見事な戦いでした」

「ありがとう・・・ございます」

「身体強化の弱点を上手くついた攻撃、並大抵の実力ではあぁはいきませんね」

「弱点?」

「知らずに戦っていたのですか?身体強化は、魔力を血液の様に体内に流す事で筋力を強化する近接戦闘職のスキルです。流す魔力によりバフ効果は上がりますが、体内に流している特性上普段より丈夫になりますが、防御力が上がるわけではありません。なので、無防備な急所にダメージを受ければゴーン君の様に一撃で倒される事もあり得るのです」

(知らなかった・・・集中してて自分が何やらかしてるのか全然考えてなかった・・・考えてみれば、こんな子供が現役冒険者一方的に叩きのめすなんてありえる訳ないじゃん!!何目立ってるんだ俺はぁ!!)


脳内で絶叫中のコウを尻目に、シルバは和かな表情を崩さず続けた。


「記憶喪失・・・でしたね。コウ君さえ良ければ、『サンクチュアリ学園』に来ませんか?」

「サンクチュアリ・・・学園?」

「えぇ、この世界では10歳になれば冒険者ギルドや生産者ギルドに登録が出来ます。15歳になれば成人となり、自身で経営も可能になります。その為、王はその時の為に力や技術を得られる様、貴族・平民関係なく学ぶ事が出来る学園を設立し、10歳から通う事が出来る様にしました」

「その学園に俺を?」

「コウ君の戦闘技術は冒険者でも上位です。ですが、記憶喪失からくる知識不足は否めません。ですので、学園の講義に出る必要はありません。学園内には王都より集まった書籍や様々な種族が集まります。知識や情報を得るのに適した場だと思いますよ?」

(確かに、この世界の事を知らなければこの先厄介事が増える一方だろうし、何より他の種族の事を知れば、この世界を平和に導く方向性も見えてくるかも・・・)

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