第17話『やっちまった転生者①』

ギルドマスターの部屋、コウ達はそこでシルバと向かい合っている。

シルバから話し合いを申し込まれた後、バラン達にも話しがあるとの事でギルドマスターの部屋へと案内された。


「まずは、コウ君。おめでとうございます。正式に冒険者として登録をさせてもらいます」

「ありがとうございます」


緊張気味のコウへ微笑むと、シルバはバラン達を見た。


「バラン君、ガイ君、スライ君、君達は本日付けでBランクに昇格です」

「よっし!」


バラン達は昇格の為の依頼を受けていた。

コウが戦っている最中に、正式にギガントライノの討伐が確認されていた。


(バラン達はランクCだったのか・・・って事は、あの時戦ってたブラックウルフって、相当強いんじゃ・・・)

「さて、まずはバラン君達の話しから片付けましょう」

「あぁ、そうだな。実は、フルーンの草原でブラックウルフが出た」

「ブラックウルフ?あれは試練の森に生息している魔獣。シャドーガウルを筆頭に群れで現れるはずですが・・・」

「あぁ、だがシャドーガウルはいなかった」

「群れから外れた個体か、あるいは・・・」


バランからの報告を受けシルバが考え込む。


「それと、その際にコウが謎の大鷲に追われてきた。幸い、ブラックウルフを襲った為、俺達はなんとか逃げ出せたが・・・コウと出会ったのもその時だ」

「大鷲?」

(ヤバい、それってあの時適当に思いついて召喚したやつだ・・・)

「あぁ、見た事ない魔獣だった。もしかしたら新種かもな」

「コウ君、その大鷲は何処から現れました?」

「え?あぁ・・・当てもなく歩いてたら突然、森の方から飛んできて〜・・・」


コウはなんとか矛盾の無い様頭をフル回転させて説明する。

すると、コウを見ていたシルバの瞳が再び一瞬金色に輝く。


(また・・・)

「なるほど、ブラックウルフは単体ならばランクはギリギリC程度。ですが、群れで現れた場合、ランクはBに指定されています。それを襲ったという事は、少なくともその大鷲はランクB以上。調査の必要がありますね・・・」

(あぁ、俺が召喚したばかりに何だか大事おおごとになってきてる!)


重い空気にもはや自分が召喚したとは言えるはずも無く、コウはその場から消えたい一心だった。

その時、スライが魔術の文字を書き始めた。


-そう言えば、光の柱から大鷲は現れた-

「報告にあった現象ですね。その光から現れたならば、召喚術の可能性がありますね」

「召喚術って、魔獣の魔石からその魔獣を召喚して使役するって言う・・・」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る