第16話『八神虹の秘密⑤』
「バカがっ!」
ー武器術『ギガント・スラッシュ』ー
コウが体制を崩した所を見逃さず、ゴーンはバルディッシュを横薙ぎする。
戦士の持つスキル『ギガント・スラッシュ』
大剣や斧などの両手武器使用時、魔力を刃に
既にバルディッシュを持ち上げる体力も無いゴーンは、腕を固定し腰を捻る事で遠心力を利用しバルディッシュを振るう。
持ち味の間合いが狭まる代わりにスキルを使用する事でそのデメリットを無くしたのだ。
魔力を纏ったバルディッシュがコウを襲う。
当たれば間違いなく木刀は砕かれコウ自身もタダでは済まない。
(魔力が視えるもので良かった・・・)
コウは口元を緩めると、バルディッシュが当たる瞬間、大きく身体を沈めた。
体制を崩したのは当然故意に行った事。
すぐに体制を立て直せる様に崩れ相手の大技を狙ったのだ。
ゴーンは既に体力が限界にきていた。
コウは攻撃はせず最小限の回避をする事で、体力を温存。
重さのあるバルディッシュを振るい続け、動きが単調になってきた所を狙い、わざと隙を見せた。
当然、これ以上体力の消耗出来ないゴーンは一撃に全てを賭けるしか無い。
しかし、バルディッシュを持ち上げられないゴーンは縦では無く横薙ぎしか選択肢は無く、結果的にそれを読んでいたコウに簡単に避けられてしまったのだった。
「魔力が視えないエネルギーだったら危なかったよ、それに・・・」
コウは一気にゴーンの懐へと脇構えで接近する。
「子供の身長になって簡単に真下に飛び込める!」
「なんっ!?このガ・・・」
ゴーンは叫び終わるより速く、勢いを殺さず顎に向け木刀を振り上げる。
的確に顎を打ち抜かれたゴーンは白目を剥いてその場に倒れ込んだ。
「・・・あ、勝者!コウ・ヤガミ!!」
皆が唖然とする中、審判がコウの勝利を告げる。
瞬間、訓練場は割れんばかりの熱狂に包まれた。
一切のスキルを使用せず、現役の冒険者を打ち破った子供に賞賛の声がこだました。
「ふぅ・・・」
緊張が解けたコウは息を吐く。
観覧していたバラン達がコウへと駆け寄り肩を抱く。
「コウ!お前凄い奴だな!良くやった!」
「やるじゃねぇか!」
-凄いね、コウ-
「コウ君、無事で良かった・・・」
ミラは既に泣きそうになっていた。
「ありがとうございます。なんとか勝てました」
「素晴らしい戦いでしたよ、コウ君。これで正式に冒険者として君を迎えましょう」
シルバはゆっくりとコウへと近づき微笑んだ。
そして、訓練場の中心へと来ると、ゴーンを医務室へと運ばせ周りの冒険者へと解散を言い渡す。
興奮冷めやらぬ冒険者達であったが、ギルドマスターからの通達では従う
「さて、コウ君・・・少し、お話ししましょうか?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます