第15話『八神虹の秘密④』
八神流は、単体から複数、果ては大多数の乱戦時において戦う為に生み出された流派であり、武術や剣術だけに収まらず、槍術・弓術などありとあらゆる武器を体系に置いている。
それゆえ、免許皆伝までに永い時間を有する一子相伝の流派だった。
刃も例に漏れず、幼い頃より父に八神流を叩き込まれる日々を過ごしていた。
刃は父をして天才と呼ばれ、成人を迎える前に八神流を継ぐと、単身海外へと渡る。
様々な紛争地域へ
味方からは『武神』として讃えられ、敵からは『鬼神』と恐れられ、各地を転々とする日々・・・。
転機が訪れたのはそんな日々を送って10数年が経った時、紛争地にて日本人の女性と出会った。
その人物こそ、虹の祖母である。
当時、狙われる立場にあった刃は、戦時の混乱に合わせて2人姿を消した。
その後、終戦となった日本へと帰国を果たした2人は子を授かる。
しかし、刃は八神流を一切教える事は無かった。
何を思っての事かは分からないが、刃は自らが八神流を終わらせる事にしたのだ・・・。
(俺が爺ちゃんから教わったのは刀や槍の持ち方と構え方だけ・・・)
ゴーンが繰り出す攻撃を避け続けるコウ、彼が刃に教えを受け始めたのは今と同じく10歳の時。
当時、虹は道場で1人稽古をする刃を毎日の様に見ていた。
刃は愛想の無いジジィとして近所での交流は無く、1日の大半を道場で過ごしていた。
「・・・毎日毎日飽きもせず何が楽しい?」
「え?うーんと・・・爺ちゃんカッコいいから!」
「・・・」
虹の満面の笑みを受け、刃は笑いもせず素振りに戻る。
虹も気にせずその姿を眺める。
2人の道場での時間はそれが全てだった。
「お前も振ってみるか?」
刃は虹に
その日より、虹は刃に刀の握り方や構えなどの基礎知識を学んだ。
最初は刃の隣でひたすら素振りをする日々。
高校に入る頃には、刃との仕合をする事が増えていった。
だが、相手は武神とまで言われた達人。
齢70近いとは言えその冴えは衰える事は無く、虹は一方的に打ち込まれるだけだった。
刃の剣を見切り、受け流す事が出来る様になった頃、虹は自身の余命を宣告された・・・。
「クソっ!!何で当たらねぇ!何なんだテメぇは!?」
もはや余裕の無くなったゴーンは無造作にバルディッシュを振るう。
武器の重さも相まって既に体力はかなり削られていた。
「おっと・・・」
順調に攻撃を避けていたコウだったが、突如砂地に足を滑らせた。
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