第14話『八神虹の秘密③』
(うん、やっぱり・・・流石に力じゃ勝てない)
コウは飛ばされた先で、身体の調子を確認しながら考えた。
子供になり、まだ鍛え上げられていない肉体では、攻撃を防ぎきる事は出来ない。
幸い子供の柔らかい骨のお陰で、先程の一撃での肉体ダメージは無い。
動きに支障をきたす事は無い。
武器の破損もない。
そして、何より・・・
(視える、爺ちゃんと比べたら・・・全然遅い!)
コウはその場で構え直す。
心は落ち着いている。
恐怖はない。
土埃が晴れ、目の前のゴーンが姿を現す。
その表情は驚愕に満ちていた。
「何でそんなピンピンしてやがる!?まさか、ヒールが使えんのか!?」
ヒールは、
癒しにより骨折や切り傷を修復する力がある。
法術師の基本スキルではあるが、法術師の数が少ない為、希少なスキルとされていた。
もちろん、コウはヒールを使用していない。
(今はまだ、この世界のスキルがわからない・・・無闇に創成の力を使えば怪しまれる。だから、ここは力を使わずに戦う!)
「だったら、ヒールも使えねぇ様な一撃をくれてやる!!」
先程よりゴーンの動きが速くなる。
「身体強化か!」
肉体にマナを血液の様に流し強化する近接戦闘職が多様するエクストラスキル。
流すマナによっては素手で岩をも砕く事が出来ると言われている。
身体強化により筋力が向上したゴーンの刃がコウへと迫る。
振りかぶった一撃は、コウの頭目掛けて振り下ろされる。
だが、その攻撃がコウに当たる事は無かった。
「なっ!?」
ゴーンも、そしてその場にいた誰もが驚愕した。
振り下ろされたバルディッシュは、地面に深く突き刺さった。
「あの一撃を・・・避けたのか?」
「ゴーン君は元々、マナ操作が甘い・・・身体強化を使用した場合、細かい動きが出来ずに大振りになります。彼は戦士のジョブですから、隙は大きいながら強力な一撃を出せるスキル持ち。今まではスキルとの相性もありそれでも問題なく依頼をこなしてきました。もし、コウ君が彼より速い、もしくは彼の動きが視えているのなら、回避は難しくはないでしょう」
「身体強化した奴の動きより速いか、視えるって・・・コウはまだ10歳だぞ?Aランク冒険者と同じか、あるいは・・・」
もちろん、コウは身体強化を使用していない。
そして、彼の肉体は普通の人族の子供と変わりはない。
コウがゴーンの攻撃を回避出来た理由・・・それは、彼の前世の人生に
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