第3話『勝手に最強にされた③』

「なるほど、確かにそれなら僕が干渉しなくても良い・・・うん、それでいこう!虹、その力ってどんな感じが良いかな?」

「え?そうだな、例えば・・・」


どれくらい時間が経ったかはわからない。

神の期待の眼差しに気分がのってきた虹はいくつものチート能力のアイデアを出していく。


「君を呼んで良かった、これで僕の世界も安心だ」

「それは良かった。人生終わってまで神様の助けになったなら、俺も嬉しいよ」


これで、自分の人生は本当に終わる。

虹は神の世界が永く続く事を願って立ち上がる。


「それじゃぁ、俺の役目も終えたみたいだし、そろそろ良いか?」

「あぁ、もちろんわかってる。君に新たな人生を送るよ」

「ん?いや、そろそろ良いかって、もう帰っていいかって・・・」


言いかけていた言葉は神に届かず、虹は目の前が真っ白になった・・・


「ん・・・」


虹が次に目を開けると、そこは自然豊かな草原が広がっていた。


「は?」


虹は自身の頬をつねる。

痛い、現実である。

そして、振り向けばそこは壮大な森が広がっていた。


「ここって、新たな人生って言ってたよな・・・まさか・・・ステータスオープン!」


虹の目の前に半透明なウインドが表示される。

そこには自身の名前や歳などが記載されていた。


「やっぱり・・・あの神、俺を自分の世界に転生させたのか!!?」


そう、ここはあの神が創った世界。

様々な種族が住み、魔術が存在する世界。


『アークラム』


虹はその世界が生まれた3000年後に転生した。


「名前はコウ・ヤガミ、人族、10・・・歳、道理で視点が低いと思った。身体も軽い、それは嬉しいけど・・・」


身体が動かなくなっていく恐怖と絶望を味わったコウだからこそ、身体が自由に動く事の素晴らしさをより実感していた。


「色々言ってやりたいが・・・またこうして生きてる事には感謝すべきか。ステータスが見れたって事は、ここは俺が話してた知識を生かした世界って事なんだよな・・・なら、まずはこの世界の知識を得ないとだな」


自分の常識は通用しない。

何故ならここはファンタジーの世界。

基礎知識すら与えられずに転生させた神を恨んだ。


「ここにいても仕方ないし、まずは人のいる所を探すか・・・近くにあると良いけど」


コウは周りを見渡した。

見渡す草原が続いているだけで何も見当たらない。


「日が暮れる前に見つかるかなぁ・・・」


立ち尽くしていても仕方ない。

コウは当てもなく歩き始めた。


「そう言うば、何かアイテムとかないのかな・・・」


コウは自身が身に付けているポーチを探る。

中にはコインが入った袋と手紙が入っていた。

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