(漫画感想)とある科学の超電磁砲外伝アストラル・バディ 乃木 康仁 

この文章は小説の文章形式ではなく、ブログに適した文章形式で書かれています。


●注意事項

本作およびこの記事の内容は理解するために一定の予備知識が必要になる懸念があり

とある科学シリーズについての基礎的な作品設定を把握していない状態で読むことを

推奨しません。


●前置き、その1

この作品はとある科学の超電磁砲(とあるかがくのレールガン)という

シリーズの外伝作品です。


外伝とあるようにレールガンシリーズの派生作品(スピンオフ)にあたるのが

本作なのですが、そもそも、このレールガンシリーズ自体が

大人気小説シリーズ、とある魔術の禁書目録(とあるまじゅつのインデックス)の外伝作品であり、言ってみればスピンオフ作品のスピンオフ作品なんですよね。


整理すると禁書目録シリーズの主人公が上条当麻かみじょう とうまくんという男の子で

禁書目録シリーズのヒロイン、御坂美琴みさか みことが主人公を務めるのが

レールガンシリーズ。そして、御坂美琴の友人の帆風潤子ほかぜ じゅんこを主人公にして

描かれるのが本作、アストラル・バディです(うーん、複雑……)


まぁ、派生作品から派生作品が出るくらい、作品やキャラクターに

人気があるということですね。


●前置き、その2

作品の舞台は学園都市という科学の発展が盛んな都市です。

この都市では超能力者を人為的に生み出す技術が確立されています。

そのため主要登場人物の大半が超能力者であったりします。


本作の主人公、帆風潤子も身体能力を劇的に強化する能力

ランペイジドレスの持ち主です。


話が変わりますが、とあるシリーズは超人気作品である上に

前述の派生シリーズなども複数展開しているため

作品世界を網羅的に把握することは相当なシリーズマニアでない限り

難しいです。


かくいう自分は、ほぼアニメ放送版のみで把握しているため

原作小説などでしか語られていない事柄に関しては把握していません。


ほぼアニメ視聴しかしていない視点からみると帆風潤子という

キャラクターはアニメ内で一切その能力を披露しておらず

はっきりと言ってしまえば少し目立つだけのモブキャラのような

印象です。


なので本作で初めて能力を把握しました。

そんな彼女をいきなり主人公に据えて大丈夫なの!?

とも思いましたが、主人公として差支えはありませんでした。


……が、アニメ版で活躍していて帆風さんより馴染みのあるキャラクターが

彼女より活躍が少ないというのは当然とはいえ、少し物足りなさを

感じたのも事実。黒子とか、食蜂さんとかね。


●作品の雰囲気について

いわゆる能力バトル作品なんですが、主人公の帆風さんの能力の都合上

体術による格闘戦が主体になっています。


戦略的に戦う頭脳戦の要素もありますが、頭脳戦に特化していたり

謎解きに主眼を置いているというよりかは豪快なアクションシーンの

連続という印象です。


作品の質には満足していますが、全4巻という短く手頃な巻数で

まとまっている反面、その短い巻数の中に多量のアクションシーンを

詰め込んでいるため、胃もたれする印象はありました。

これに関しては自分が4巻まで一気読みしたせいもありますが。


●熱量がある

キャラクター同士の絆や思いを絡めて、熱く描かれています。

しっかり盛り上がりがあって面白いのは良いのですが

どこか熱量任せで大味な感じもしました。


前の項目とかぶりますがキャラの感情の高まりに合わせて

戦闘そのものや攻撃演出(ゲーム的に言うと攻撃エフェクト?)

が派手になり、スケールが大きくなっていくのに多少の胃もたれが。

もっと巻数が多いならいいですが、4巻ですからね。


●良くも悪くもいつものレールガン

作品の舞台である学園都市は科学技術の発展した都市である反面

技術開発のために、倫理観のラインを超えた非人道的実験を

実行する研究者たち(マッドサイエンティスト)が犇めいているという

裏の一面、負の面があり


それに対してレールガンシリーズの御坂美琴たちや、本作アストラル・バディの

帆風潤子のような能力や化学技術という都市の恩恵を受けた上で

まっすぐに爽やかに生きている正の面の象徴のような人々の対比というものが

シリーズ作品内で繰り返し描かれてきました。


本作も根底の部分は同じなのですが、それを安定感、定番とポジティブに

捉えるのか、あるいはアストラル・バディにしかない強みがないと捉えるのかで

評価が変わってくるところはあるなと感じました。


●総評

何だか本編の内容の解説より本作のシリーズ内の位置付けについての

解説の方が割合を割いている気がするんですが……


全4巻で読みやすく購入しやすく、作品の質も良い。おすすめです。


あと、強いて言う程でもないことを手短にいくつか補足すると


女性キャラ中心でまとまっていた中で削板軍覇そぎいた ぐんはは悪い意味で

異質で帆風さんをレベル5と戦わせる意義はあったものの異物感が強い。


都市伝説の設定がそこまで活きていない。幽霊少女は活躍内容的に幽霊感が薄い。

忙しなく移動と戦闘を繰り返すばかりで少し単調に思えた。

(一応戦闘中に頭脳戦もしているが)


そんな感じです。帆風さんには本作以外でももっと活躍してほしいですね。






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