(漫画感想)ビリオネアガール 支倉凍砂
この文章は小説の文章形式ではなく、ブログに適した文章形式で書かれています。
●前置き
ライトノベルやアニメなどを嗜む方の中には
ご存知の方も多いのではないでしょうか?
狼と香辛料などで有名な支倉凍砂さんが原作の漫画です。
コミックスは全3巻完結なので気軽に購入できる作品だと思います。
というか自分が購入した理由自体がそうなのですが。
先に言っておきますが、今回紹介するこの作品
評価としてはかなり酷評気味です。
否定的な意見を聞きたくない方はブラウザバックを。
●作品の概要
平凡な大学生の主人公、高遠恵(たかとお けい)がとあるきっかけから
個人資産170億の美少女と知り合う。
というところから始まるのですが、どうなんでしょう?
何だか都合の良い話が過ぎますね。
流れとしては
主人公の叔父から家庭教師のアルバイトを持ちかけられる
↓
相手は大金持ちの美少女
↓
世間知らずな女の子に普通の感覚を教えるために雇われる
↓
主人公は平凡な大学生
↓
家庭教師として関わる内に惹かれ合っていく
……という流れなんですが。
何か、ある日突然石油王と仲良くなるとか、白馬の王子様が
目の前に現れたみたいな現実味のない幸運イベントなんですよね。
現実で似たようなことに遭遇したら詐欺の線を疑うべき。
リアリティを無視することが絶対的に悪いわけではないし
ケースバイケースで武器になることはあると思います。
しかし……本作の場合のリアリティ無視はやってはいけないタイプの
ものなので残念ですね。
●支倉凍砂さんの作風について
といっても自分は支倉さんの作品を本作を除いて
1作しか拝見していないので、詳しく知っているという
わけではないのですが……
経済関連の知識に長けていて、物語の中に
経済の魅力をブレンドした作品が作品が多いのが特徴。
というイメージです。
本作のヒロインも個人資産170億のとんでもない
デイトレーダーですしね。
何というかピーマンの肉詰めみたいな性質があるというか
特にライト層の客には嫌われがちである経済という
小難しい要素を上手くファンタジーであったりする作品に
落とし込む手腕が評価されているのですが……
本作はそれが上手くいってないように感じられるんですよね。
●要素1つ1つが嚙み合っていない
ヒロインはデイトレーダーで、本作には株に関する知識が
ちりばめられています。
それに加えて、主人公とヒロインの恋愛が絡められている
感じですね。
その組み合わせ自体は問題ではありませんが
塩梅が下手ですね。
恋愛モノとしては株取引の要素がノイズになり
株取引題材の作品としては恋愛がノイズになっている。
作中で株取引と恋愛は似ているみたいなセリフが
出てくるのですが、無理やりこじつけたように
見えてしまって、せやろか?……となるんですよね。
株取引にも恋愛にも興味が沸かず、株の知識を解説するために
漫画なのに画面が文字だらけになって……
恋愛にしても株関係にしても面白さを見いだせませんでした。
●あまりに普遍的ではない悩みと葛藤
デイトレーダーというのは株取引によって得た利益で生活している人を
示します。本作のヒロイン、藤岡紫(ふじおか ゆかり)も
そのデイトレーダーです。相当な大金持ちのね。
普通のサラリーマンとかが一生をかけて稼ぐ金額を1日の内に
稼いでしまうくらいのもので、うらやましく思える気もするんですが
そんな彼女だからこその悲しみがあるようで。
普通の価値観を持った主人公を絡ませて物語上の化学反応を
作ろうとしているのも、そのためなんですが
その悩みが普通の尺度で生きている自分も含めた一般人には
共感しにくいもので。
彼女は富裕層で、持つもの、持たざるもので言うところの
『持つもの』の側の人間なんですよ。
で、一般的な漫画の読者っていうのは庶民であって
『持たざるもの』の側なんですよ。
桁違いの大金持ちの孤独には共感しにくいんじゃないかな。
彼女の持つ富裕層ゆえの孤独というのは理屈としては
理解できるのですが、実感を持って共感するのは難しいです。
芸能人とか、特別な人間には共感できるのかもしれないが
何か贅沢な悩みだなって感想です。
●貧乏学生の凡人と大金持ちなだけの凡人
そのままです。ヒロインの藤岡紫は富裕層で特別な人間ではあるけれど
それはあくまで資産と金銭感覚だけなんですよね。
言動とかモラル感覚は悪い意味でマトモで普通で没個性。
この作品の表紙とか、タイトル、あらすじを読んだ時に期待したのは
型破りな金持ちヒロインが主人公を滅茶苦茶に振り回す姿なんですが
全然そんなことはなかったですね。
別に売り手、作り手が悪いわけではないですが。
作中で何度も金持ちだけど普通の子なんだよと描写されているので
それが恋愛面におけるヒロインの魅力ということなのですが
作品の顔になる人物にしては地味で華がない。
主人公は一見平凡な大学生でありながら非凡なところを
買われてヒロインの救世主に任命されるのですが
その『非凡さ』というのが、ほんの少し人と変わっている
という程度の非凡さなんです。
金持ちを偏見の目で見ないとか、少しズレた発言が目立つとかね。
高遠恵は立場上ヒロインに選ばれた人間なんですが
実質、探せばいる程度の人種で主人公を選ばなければ
ならない必然性がないので何だかなと。
実質凡庸な主人公と凡庸なヒロインの恋愛になっている。
●良いところを探してみる
富裕層ゆえに浮いてしまって普通の生活ができない
友達ができないなどの悩みを持った紫さんが
恵くんによって救われるのはいいと思う。
物語として面白く描けているかは別として。
良かったねとは思うけれど感動は生まれない。
あとは3巻完結で購入しやすいのも良い。
打ち切り漫画みたいな終わり方だけど。
ここまで記事を読んでもらった方は
わかると思うんですが、この漫画つまらないんですよ。
ワールドエンドエコノミカは面白かったんだけどな(支倉さんの
別作品)
支倉さんの作品に興味がある方は、この作品より別作品を
優先して購入することをおすすめします。
良いところが他人依存で悪いんですが、この作品、ネット上の
評判は良いようです。SNSとかレビューサイトとかね。
否定的意見もありましたが少数でした。
なので単に自分に合わなかっただけという可能性もありますね。
株に詳しい人とか、株をやっている人から見ると
面白いとかあるのかな?
興味がある方は購入してみるのもいいんじゃないですかね。
自分としてはあまりおすすめしませんが……
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