ちんけな私の悪あがき

@kkkkee1

 私は本当に何でもない人間だと思う。

大きな障害もなければ、目標も志も生きるための大義名分が何も無い。


 何も無いことはどこか寂しく、私をより一層世界から孤立した存在かのように感じさせる。


 だから私は毎日何かを捜してしまう。

何も無い日常に彩りを与えるために。

己が生きる世界を輝いたものにするために。

 きっと何かが見つかれば世界はガラリと姿を変えるだろう、そう信じて。


 私の期待とは裏腹に地球は淡々と回っている。

 限りある私の人生は浪費され、掴んだと思った何かは私の手からすり抜けた。


 徹夜明けのある朝、何かを捜すため私は家を出た。日が昇る前の薄暗い街、普段見えない何かが見えた気がした。

 毎日乗る電車に飛び乗って、いつも降りる駅を通り過ぎ、見知らぬ土地に降り立った。

 清々しさと微かな気怠さは私の歩を進め、前へと追いやる。

 30分ほど歩いた所にある公園は私を中へ誘うようだった。

 数あるベンチの1つに腰掛け、何処かに向かう人々や、無気力に落ちていく葉を眺めた。


 風が吹くたびに美しく舞い落ちる枯葉たちは私の目を奪っては返してくれなかった。


 ただぼんやり何もない景色を眺めた。

何もないようで、何かがあった。


 遠くから予鈴の音がした。

何故か心が揺さぶられ、私は立ち上がり帰路につく。


 来た時とは違う、がらんとした道を一人とぼとぼと歩いた。

 昇り切った太陽に照らされて、額に汗が滲む。

 

 掴めた気がした何は、見えた気がした何かはもう私の手の内にはなく、そこにあるのはただ徹夜明けの重い身体だけであった。

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