第9話 文化祭
いつもはシャー芯の
今日は彼女が通っている高校の文化祭だ。
俺の大学と、そう離れていないはずなのだが、初めて下りた駅の光景は、やはり新鮮だ。
駅を出ると、恐らく文化祭に向かっていると思われる人々がちらほらと見えた。生徒の家族、他校の制服に身を包んだ高校生、あるいはオープンキャンパスがてらに行くと思われる中学生などなど。みんな同じ方向へと向かっている。
俺も、人々のその流れにのる形で、彼女の高校へと向かう。
シャー芯の君の高校の校舎が見えたとき、ポン、ポン・・・・・・という音が聞こえた。その姿は見えないが、恐らく花火の打ち上げられる音だろう。丁度、文化祭が始まったようだ。
「へい、お兄さん!うちのたこ焼き食っていかない?」
「それより、私たちのホットドッグはいかが?ぜっっったいに美味しいよ?」
「時間的にはまだお腹空いていないでしょ?だったら射撃部のビームライフル体験コーナーはいかが?」
校門をくぐった途端、怒濤の勢いで高校生たちの宣伝が、俺に押し寄せてきた。
「お、おう・・・・・・」
押し寄せてくる高校生たちの熱量をなんとか受け流しながら、前に進む俺。当初の目的は、シャー芯の君のいる美術部だ。まずはそこに行かねば。
それにしても、都会の高校の文化祭ってのは、こうも熱気に溢れたものなのか。俺のいた地方の高校の文化祭とは大違いだ。
さて、美術部の展示のあるところは・・・・・・俺は受付で渡されたパンフレットで、改めて位置を確認する。そして、美術部へと向かう。
賑やかな廊下を歩いていると、前方からデカいペンギンがやってきた。
もちろん、本物のペンギンではない。くちばしの下部分あたりから、人間の顔が見える。つまり、着ぐるみだ。
向かいから歩いてくる巨大ペンギンと俺との距離が近づいてくる。
あれ?よく見たら、ペンギンの人間部分の顔ってどこかで見たことがあるような・・・・・・シャー芯の君!?
向こうもほぼ同時に、俺に気付いたみたいだ。
「・・・・・・こんにちは、フーコー先輩」
頬を朱に染めて、挨拶をしてくるペンギン姿のシャー芯の君。
「ああ、こんにちは。つかぬ事を尋ねるが、その恰好はなんだ?」
「ああ、これね」
苦笑しながら彼女はチラシを渡してくる。
「うちのクラスの出し物で、水族館カフェをやっているのよ。良かったらこっちにも来てね。じゃ、私はまだ宣伝があるので」
そう言うと、慣れない着ぐるみをしているせいか、ヨタヨタとした足取りでシャー芯の君は廊下を歩いていった。
手渡されたチラシを見ながら、俺は考える。このまま美術部に行くか、それともこのチラシに書かれている水族館カフェに先に行くか。
よし決めた。まず水族館カフェに行こう。ここからだと比較的近いしな。
俺は水族館カフェのある場所へと向かう。
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