第2話  ハチャメチャ赤ちゃん爆誕⁉

 俺は今、とても困っている。

 記憶が確かならば、俺は前世で死にそうになっていたのを自称神に助けられて、転生した覚えがあるのだが…まぁそれはたぶん間違いない。転生も成功したと思う。

 で、何が問題かといえば、あくまで推測の域を出ないのだが…


 俺はおなかの中にいる。どういう意味か分かるか?決して転生したとたんクマに食べられたとかではない。新しいマイマザーの腹の中だ。

 あぁそうだ、まだ生まれてないんだ。


 普通転生とかって生まれた後に意識が戻るとかじゃないの?一応転生もののアニメは見たことがないわけではない。俺が見たものの1話ではある程度成長した時に前世の記憶が戻るとか、意識が戻って目を開けたら赤ちゃんだったとか、つまり全て空気に触れて息ができる状態から始まっていた。


 ていうか目を開けたら生まれた直後っていうのもおかしいんだけどね!人って始め目は開けられても全然見えてないからね!見えたとしても2か月はかかるし、ハッキリ見えるようになるには6か月もかかるんだけどね!マジレスしてごめんね!

 

 最悪そこには目をつむっても、もちろん俺もそうなると思っていた。せめて生まれた後からだと思っていたのだが、、、


 まさか出産前から始まるとは予想だにしていなかった!

 さっき推測の域を出ないといったが出産前のおなかの中だというのはほぼ確実だ。なぜなら明らかに液体の中だし、なんか閉じ込められてるし、なんか紐ついてるし。

これって完全に羊水と子宮内膜とへその緒だ。

 そして体の感覚が、主に触覚と聴覚が機能していて脳も発達しているとなれば妊娠25週間は経過していると考えていいと思う。


 で、ここまではまだいい。俺が困っているのはこの後。

 生まれるまであと3か月月ほど時間があるのだが…何して暇をつぶすか。だッ‼

だってマジ暇じゃね?なんも見えない中で3か月も何すればいいの?ぜひとも俺はChatgpt先生に質問したいところだが出来るはずもなく。

 

 はぁーー。と心で特大のため息をついた。


 こんなに愚痴って何なのだが、実は暇つぶし方法に一つ心当たりがある。

 俺はこっちに来てから一つ気になることがあった。前世では感じたことのないような感覚が確かに全身を循環しているのだ。

 不思議な感覚、液体の中にいる時とはまた別。しかもその謎のものは少し自分の意志で動かすことができるのだ。操作できるまでいかなくとも動かせた感覚があった。


 そこで俺は生まれるまでにこの謎を解き明かそうと思うのだ。

 そのためにもまず、あいまいなこの感覚を確かなものにしようと思う。




―――― 一か月後


 俺はこの実験のために、心の中で座禅を組み、滝に打たれ感覚を研ぎ澄ませ、存在を正確に認識できるようになった。

そして今、結果が出た! あの謎の感覚の正体は…

        

               正確にはわからん‼‼‼


 だが、これは前世では存在しない未知のものだとは分かった。

 そして俺は悟った。どうせ魔力かなんかだろうな!と。

 

 だってこんなの転生系物語の典型じゃんか。転生して手に入れた未知のものといえばザ・魔力だろ。でもまさか実在するとは思わなかった。人間のイマジネーションは本当に恐ろしい。


 そして同時に神の言った物理法則が成り立たない意味も合点がいった。どうせ魔法だろ。どうせ。

 それにしても魔法か。どうせとか言って今めっちゃわくわく自ている自分がいるのも事実。こんな第二の人生たのしみきるしかないよな!


 でもあと2か月もあるのかと落胆した。また暇人ニートにもどってしまったよ。

 何しよ。 魔力を操作できるようになるまで練習でもしよっかな。



―――― ってことでさらに一か月後


 俺は魔力を手足のように動かすことができるようにまでになった。

 始めは動かす感覚をつかむのが難しかったが、無駄な情報がなく魔力操作に意識を集中できるからだろうか。一度コツをつかめば二次関数のグラフのように上達した。魔力は波形をしているのだが、それを小さな針孔に通すほど細くもできるし、魔力の源だと思われる丹田に集め魔力を強力に練り上げることもできる。

 もうここまで来たら達人じゃね?と自分の成長に喜んだ。


 そして魔力であやとりしたりで遊ぶこと数日。最近だんだん脳の働きが抑えられてきた。これはそろそろ生まれる合図だと思う。人は生まれる直前脳の働きを強制的に抑えることが分かっていた気がする。


 全くこの長い間よくしのいだな、と自分を尊敬する。

 するとだんだん意識が薄くなってきた。第二の人生への期待を膨らませ、出産の時を待った。



 この1週間後。のちに世界を揺るがすことになる人間が生まれた。

 しかし世界がその少年を知るのはまだ先のお話…

 




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る