第3話 大切な人の言葉
次第に私は、兄貴先生に色々なことを相談するようになった。
学校のこと、寮のこと、家のこと――。
「今の日本って、ADHDとかそういうのにあんまり理解がないから。
特性とかを武器にして話すと、トラブルになる。
言い訳に聞こえてしまう。
そういうのは、使わない方がいいよ。
”どうすれば克服できるか”っていうことを考えた方がいいね。」
兄貴先生がそう言ってくれたとき、私は「言い訳するな!」の意味がどういうことか、ようやく分かった。
私は「I respect person」という英作文のテーマで、兄貴先生のことを書いたことがあった。
その英作文を、せっかくなので紹介しよう。
◇◇◇
The person I respect the most is Mr.Big brother.
私が最も尊敬する人物は、兄貴先生です。
He is the advisor for the Japanese language and music club at T high school.
彼は、T高校の国語科と音楽部の顧問を担当しています。
He is a kind teacher with clear brown eyes.
澄んだ茶色の瞳の優しい先生です。
He has taught me how to play bass, guitar, and write poetry and novels.
彼は、私にベースやギターの弾き方、詩や小説の書き方を教えてくれます。
He started playing bass and DJing when he was eighteen years old.
兄貴先生は18歳のときに、ベースとDJを始めました。
He wanted to be a teacher and it came true.
彼は教師になりたいと思っていて、その夢はかないました。
But he soon eventually got a psychiatric disorder.
しかし、すぐに心の病気になってしまいます。
He quit teaching once and worked for a publishing company for several years.
彼は一度教師を辞めて、何年か出版社で働きました。
He has been a huge influence on me.
兄貴先生は、私に大きく影響を与えています。
When I told him "I want to die", he told me something like this at the library.
私が「死にたい」と図書室で言ったとき、こんなことを言ってくれました。
"There is no such thing as a person who should not live.
「生きてはいけない人間など一人もいない。
There are even countries that don’t have the death penalty.
死刑のない国だってあるんだから。
It means that any person is allowed to live.
どんな人でも生きていいということ。
If you want to die, read one hundred books".
もし死にたいと思ったら、100冊の本を読みなさい。」
He shared his experience during a teacher talk.
彼は職員講話で自分の経験を語りました。
I think it took a lot of courage to do that.
それは、とても勇気のいることだったと思います。
I am sure he will continue to use his experience to reach out to more students in the future.
兄貴先生は、これからも自分の経験を活かして、より多くの生徒を助けると思います。
◇◇◇
兄貴先生は、これ以外にもたくさんの言葉を私に残してくれている。
「貪欲に知識を入れて、謙虚に生きること。
自分が正しいと思った瞬間に、全てが崩れていきます。」
「言葉を作品にするなら、人の言葉を無下にしないこと。」
「書けないっていうことは、ないから。
手を動かしたら書けるから。」
それ以外にもたくさんあるが、おいおい紹介していこうと思う。
あと、兄貴先生と出会って間もない頃に約束したことを、メモ帳の裏に貼っている。
「人のいやがることをしない。
ないことを言わない。
言い方に注意する。」
ちなみに、兄貴先生の直筆で書いている。
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