EP05 赤い部屋
やはり美咲は、「行動派」の視聴者たちが投下するコメントに応えて地下に降りてしまった。
無論わたしも、同行している。
「お、おおおおお? なんだこりゃ、ほんコワ動画みたいな現象が現実に起きておりまーす!」
ギィ……。
イヤな金属音を立てながら、みたび、地下室の扉が開いた――わたしの視界はまたしても、この場面では赤く染まっている。
これもまた、今わたしが見ているこの映像が「夢」だという合図なのでは?
いや、こんどこそ夢ではない、とわたしは徐々に確信しはじめていた。
匂いだ。
地下に降りてからの据えたような奇妙な匂いが、強烈なのだ。
わたしの予知夢は、映像も音声も明瞭だけれど、若干だが匂いは現実よりも薄くなる傾向がある。その匂いが、さっき地下に降りた夢で嗅ぎ取った匂いよりも明らかに強い。
「赤い土」が放つ、なにかが腐って発酵しているかのような奇妙な匂い。赤い土が大量に持ち込まれているであろう地下空間では、あの匂いがより強烈になっているのだろう。
ここは、現実だ――。
「ねえねえ、美咲? ちゃんと電波届いてる? 配信できてる? ここで電波が途切れてたら最悪じゃん?」
わたしは、震える手で、バットを握っている美咲の手首を掴んでいた。
ひゅうう、とわたしの喉から妙な呼吸音が漏れた。
どどどどどと、心臓が爆音を立てて鳴りはじめる。
まずい。まずいまずいまずい。
夢とまったく同じように、現実が進行している。
このまま順調に夢の通りに進めば、美咲もわたしも無事にこの建物から脱出できる。「赤い部屋」には誰も入らずに済む。
そのはずなのに。
強烈な悪い予感が、わたしの心を捉えて放さない。
「……そ、その部屋に入っちゃダメ……ひ、引き返そう……?」
あれ。夢で見たのとは違う。もっと大きな声で、感情を爆発させて叫んだはず。
でも、無理。恐怖に取りつかれて、大声なんて出せない。振り絞るように言葉を吐き出すので精一杯だ。
ああ、そうだ。マスクだ。マスクをつけている分、この空気が澱んだ地下空間では呼吸がしづらくなっているのだ。
マスクをつけているのに、マスクをつけていなかった夢の中よりも、遥かに強烈な匂いが備考を直撃しているのか。ならば、100%現実で確定だ。
「えー? だいじょうぶだって。なにか出て来たら、わたしがバットでボコっちゃうからさぁ。真理はわたしが守ってあげるから、ビビらないビビらない」
美咲の言葉も、夢とは少し違っている気がする。
もしかしてわたしがマスクを着用したことで、微妙に現実が変わってしまった?
だとしたら大失敗だ。わたしの素顔をネットに晒すかどうかなんて、美咲が「赤い部屋」に入るかどうかという問題に比べれば、どうでもいいことなのに。
「赤い部屋」には絶対に入ってはいけない。本能がそう警告してくる。
(非科学的だけど、わたしの夢が「予知夢」だと仮定すれば、この「赤い部屋」に澱んでいるなにかは、わたしの予知夢の能力をもねじ曲げてしまえるほどに強力なのでは?)
どうしよう。どうしよう。どうしよう。
「ねえ真理。わたしは自分の命を割と軽く考えてたけどさ、今回は真理が一緒じゃん? 真理の命を預かってるんだから、ちゃんと生き延びるために行動するって。だいじょうぶだよ」
え? 美咲?
嬉しい言葉だけれど……違う。こんな言葉、夢の中でわたしは聞いていない。
自分の背筋が冷たくなってくるのがわかった。
もしかしたらわたしの迂闊な行動のせいで、助かるはずの美咲の運命が……。
「わたしに必要なものは、お互いに背中を預けられるバディだったんだよー。だから、心配いらないよ。ほんとにヤバいと判断したら引き返すって約束するよ。ね?」
「……でも、美咲。この部屋の中にいるモノは、バットでどうにかできる相手じゃない。わたしの予知夢の能力すら、ねじ曲げてる」
「え? もしかして今のこの光景も夢で見てるの? 凄いじゃん! だったら問題ないじゃん! どこで引き返せば助かるのか、真理はぜんぶ見てるんでしょ?」
「違うの。夢の内容と、今進行している現実が、違ってるの。わたしと美咲の会話の内容も、まるで違ってる。どんどん夢から乖離してる。夢では、わたしたちはぎりぎり危機回避して部屋に入らずに建物から脱出できた。それなのに――」
「そうかー。それじゃあ軌道修正して、夢の通りの会話をやってみようー! それで元のルートに戻せるじゃん? ほらほら、頑張って台詞を思いだして真理!」
もう。どうしてこう、思考パターンが単純なのかな!
でも、試してみる価値はある。夢で叫んだ言葉をもう一度――わたしは、鼻と口を塞いでいたマスクを取った。これが邪魔で、大声を出しづらくなっているから。
それに、夢ではわたしはマスクをつけていなかった。夢と同じ状況に戻せば――美咲は助かるはず。
「え? 真理、今は配信中だよ? 素顔を晒しちゃっていいの?」
「いい! お願い、美咲。話を聞いて! 怪異はなくとも、不幸はあるの! 震災とか。通り魔殺人とか。自殺とか。わたしは、そんな怖い夢を何度も見てきて、知らない被害者の視点で恐怖を経験して、その度に『死ぬ直前』で目覚めてきたの!」
「それじゃ、夢の中で死んだことはないんだ? 寸止めで目覚めるんだ。よかったじゃん真理? そうだよね。何度も夢で死んでたら、メンタルが持たないよね?」
ああ。美咲の言葉。夢と同じだ。
できる。夢と同じルートに戻ることができる!
「でも、ただの一度も、現実で起きる不幸を止められなかった。美咲だけは止めたい。わたし以外に、今の美咲を守れる人間はいないの。ここで美咲を止められなかったら、一生後悔する!」
もう恥ずかしいだのなんだのと言っている場合じゃない。
藁にもすがる思いで、わたしは思いの丈をぶちまけていた。
ここで美咲を翻心させられなければ、摘む。部屋に美咲が入ってしまう。
美咲は照れたような困ったような表情で、頭を掻いていた。
「……たはは……参ったな……泣きながらそんなこと言われたら、もう部屋に入れないじゃん……しかも、夢と現実とで、二度も真理はわたしを止めてくれたんだよね?」
「そうだよ! わたしの夢では、美咲はここで配信を終わりにしようって言ってくれたの! 止めてくれるよね?」
「……そうなんだ。予知夢がそういう展開だったんなら、しょうがないな~。それじゃ、配信はここで終わりにしようか」
「ほんとうに?」
「うん。だってここで逆らったら、真理の予知夢能力をわたしが否定することになっちゃうよ。真理は自分の能力を嫌がっているし、わたしは真理の夢で見た未来は変更できると信じてるから、否定したほうがよさげな気もするけれど。でも、それは今回じゃないよね」
ああ。
安心したら、どっと身体から力が抜けてきた。
よかった。逸れそうになっていたルートが、元に戻ったらしい。
「ほら、もう泣かないの。コメント欄は案の定大荒れしてるけれど、苦情はわたしに言ってねー。真理に凸ったらバットでぶん殴ってコロコロするから、よろしく!」
わたしは自分のスマホで配信画面を確認してみた。ほんとうに大荒れしている。勢いが凄くて、もうコメントのひとつひとつを目で追いきれない。
部屋に入れという「行動派」と、一度引き返して準備をと薦める「慎重派」に割れていたはずのコメント欄が、<そこまで来て帰るなんて!><気になってたまらないから、入ってくれ!><ちょっとだけでいいから!><もしかして全部台本なのか?>と、「行動派」一色に染まってしまっていた。
冷静にコメント欄を仕切ってくれてきた「福笑い女優霊」が不在なので、荒れる一方だ。
確かにエンタメ動画としては、ここで引き返すなんて最悪の結末だろう。
彼らは、美咲の辛い過去を知らないわけだし。
でも、これで――。
わたしが、地上に通じる梯子に手を掛けたその時。
ドンドンドンドン。バアアアアン!
わたしたちの背後――「赤い部屋」から、凄まじい轟音が鳴り響いてきた。
「うわああああっ? なに、今の? 昨日2階で聞いた音に似てるけど、でけーっ!? 真理、今の音も夢で聞いた!?」
「……き、聞いてない……このままスムーズに一階に戻れたはず……そして建物を出て、車内でカロリーメイトを……」
「フルーツ味? フルーツ味だった?」
「フルーツ味だったけどっ! は、早く登らないと!」
ガンガンガンガン!!
バーン! バーン!
ドーン、ドーン、ドーン!
嘘。嘘。なにこれ?
昨日2階で聞いた音は、これだったんだ。
音の出所は、1階じゃなかった。
地下の「赤い部屋」が、音の発信源だ。
この地下空間は、コンクリートで作られている。たいていのラップ音の正体は、木が軋んで出る音だけれど、明らかにそれじゃない。音質も違うし、音量が桁外れだ。まるで落雷音だ。
「美咲。出よう。あの部屋の中はとても邪悪なの。わたしは夢の中で、室内をちらりと覗いてしまったから、わかる。どうして今まで誰も地下に手を着けずに封印していたのかも……」
「え? 部屋を覗いたの? いつどうやって? 今の話の流れから、どうしてそうなったの? 土壇場で脱出したんじゃなかったの? 気になるじゃん?」
「暖炉を赤い土で埋めていた理由もわかった! あそこはコンクリートで埋めちゃいけないの。それじゃほんとうには封印できないの。あの赤い土はきっと、地下にいるなにかを封じるための特別な……」
「えー? 非科学的だよー真理。キャラが変わってるよ? それって、わたしが言うべき台詞じゃん?」
こうして美咲と話している間も、音はどんどん大きくなってくる。鼓膜をやられそうだ。
それなのに恐怖で身体が硬直して、うまく梯子を登れない。
「美咲、後ろを振り返っちゃダメ。『赤い部屋』は、この建物に侵入した者を呼び込もうとする。入るつもりがなくても、一瞬の心の隙をつかれて釣り込まれるの!」
「わかったよー。コメント欄は過去最高に盛り上がってるけど、<建物が崩落するんじゃないのかこれ?><煽ってごめん、逃げて><二人が生き埋めになる瞬間の配信なんて見たくないです!>と、風向きも変わってきたしね」
「急いで美咲! 撮影はいったん止めて! 両手を空けてないと危ない!」
「了解。視聴者の皆さん、ちょっとだけお待ちくださーい。トイレタイムにでもご利用くださいね? それじゃあ、梯子から地上へGO!」
美咲はいったんスマホをポケットにしまい、バットを背中に担いで両手を空けた。
だが。
二人はやはり、「予知夢」とは違うルートへと、強制的に引きずり込まれてしまった。
「赤い部屋」と廊下を仕切っている壁が、いきなり轟音とともに崩れ落ちたのだ。
無数のコンクリート片が廊下側に落ちてきた際に、激しい震動が発生。
わたしも美咲も、梯子から振り落とされてしまった。
そして、目の前には壁をぶち抜いて室内が丸見えになった「赤い部屋」。
崩落した壁は失われたが、残っている壁には、大量のお札が貼られている。どのお札にも、真っ赤な文字がみっしりと書き込まれている。
巨大な本棚には無数の古書。
部屋の最奥部には、古い木製のテーブル。
テーブルの上には古いPCではなく、木製の奇妙な箱がふたつ。ひとつは扉で閉じられた箱。もうひとつは蓋がされておらず、その中には年代物の真空管やコイルが詰め込まれている。
機械が詰まった箱からは、アンテナ線のようなものが壁に伸びている。
床には、赤黒い塗料で描かれた、大きな五芒星の紋様。これは、西洋の五芒星とは違う。明らかに、日本の陰陽道由来のものだ。
「だわ~っ? マジ、これ? どうして壁が壊れたの? 超ヤバいじゃん! 原因は物理? 怪異? 真理博士、どっち?」
「……理屈はいろいろひねり出せるけれど、どれも憶測になる。機器を使って調査しないと、正確なことはなんとも……」
物理的に崩壊したのならば、建物が崩壊しかかっていて、この地下空間自体が危険だということになる。
そうでないのなら、もっと危険だ。
「お、おおおお? この室内、なに? スパイの通信室!? いやでも、お札やら五芒星やら、和ホラー要素満載だし、わけわかんない! オランダ商人A氏は、通信しながら呪術の儀式を? いやでも、お札は部屋を封じるために後から貼られてるのかー? どうなんだー!?」
「……夢で見た室内と同じ……なにがなんでも、わたしたちを部屋に入れるつもりみたい……」
「惜しい、撮影を続けてればよかったー! 今からでも遅くはないよね、配信再開!」
「ダメ! 脱出するの! 引き込まれないで、美咲!」
「部屋には入らないって。外から撮影するだけだから、だいじょうぶだいじょうぶ!」
確かに、美咲はだいじょうぶかもしれない。
夢では、美咲ではなく、わたしのほうが部屋に引き込まれた。美咲はメンタルが強いから、つけ込まれにくいのかもしれない。
でも、どう考えてもまずい状況だ。
「ここまで見てくれてきた視聴者の皆さんへのサービス、次回予告ってことで! 次は霊媒師とか祈祷師とかその手の面子を集めて突入しよう! もはや、マジで物理的に危ないからねー」
「もう。『なにかあった時には、彼らゲスト霊能力者が倒れてくれるから。POVホラーのお約束じゃん』って言うつもりなんでしょう?」
「当たり! 超すごい! それも夢で見たんだ!? 真理ってマジすご~い!」
「夢では、壁が崩れたりしてないから! また、夢からルートが逸れてきてる!」
「というわけで皆さん、脱出直前に部屋の壁が崩落して、室内が丸見えになりました! 次回はちゃんと突入しますので、今回は室内をちらりとお見せして配信終了にしようと思いまーす!」
夢では、部屋に引き込まれかけたわたしを、美咲が止めてくれたのだけど。
もうこの先どうなるか、まったくわからない。
「ほら美咲。もういいでしょう? 梯子を登るの! このままじゃ、二人とも部屋に捕まっちゃう!」
「ちょ、ちょっと真理? そっちは赤い部屋じゃん? なにやってんの!?」
――えっ?
「待ってーっ! 真理が部屋に突撃してどーすんの? ほら、帰るよー!」
あっ? どうして?
わたし、壁に空いた大穴から部屋に飛び込もうとしている?
おかしい。確かに、梯子を登ろうとしていたはずなのに?
慌てた美咲がわたしの腕を引っ張って、突入を阻止しようと――。
ぐるん。
その瞬間、視界がひっくり返った。
自分の身体が空中で勝手に回転しているのだと気づいた時にはもう、手遅れだった。
一瞬、無数の赤い手形がつけられている「赤い部屋」の真っ赤な天井が見えて、そして。
「うわーっ? 部屋に入っちゃった!? なに、今の? 二人揃ってぶん回されたよ!? これも夢で見たの、真理!?」
「……夢と違う……『赤い部屋』に、捉えられた……」
美咲とわたしは、「赤い部屋」の床に描かれた大きな五芒星の紋様の中央に、お尻を付けてへたりこんでいた。
美咲が持っていたスマホは、わたしの足元に転がっている。
こんな山奥の事故物件の地下室だというのに、電波は届いていて、配信は続行されている。
よく考えると、これも奇妙だ。山奥にぽつんと建っているこの物件の周辺には、民家も工場もない。そしてこの物件は10年間、空き家状態。
いったいどこに、これほどに電波が強いアンテナが立っているのだろう?
まさか。目の前にある、手製の無線通信機らしきモノ。壁にアンテナ線を延ばしているこれが、もしかして?
「え~っ? この箱、動いてるじゃん? 電気が通ってないのに、電球がチカチカ光ったり消えたりしてる? これって、どうなってるの真理?」
机の上の箱が、光りはじめた! 蓋がされていない箱に入っている電球が、激しく明滅している。
この二つの箱。見た目は、大昔に手作業で作られた無線通信機に見える。片方が受信機で、片方が送信機。これらの箱が怪異の原因なのかもしれない。電気を扱っている代物だし、なんらかの物理学的な問題を発生させていることは明らかだ。
壁の崩落も、わたしの意識が一瞬途切れて予期せぬ行動を取ってしまうことも、すべてはこの箱が発している電磁波が原因なのかも――。
でももう、ここまで来れば物理学も怪異も同じだ。
「……どうしよう……どうしよう、美咲……もう、わたしの見た夢とは真逆の展開になってる……この先どうなるか、まるで予想できない」
「入っちゃったからには、仕方ないじゃん。ヘンなものだらけだし、調べていこう」
電球が目まぐるしく明滅を繰り返す中、美咲がわたしの肩を抱き寄せてきた。
「ええっ、こんな目に遭ってるのに、部屋を調べるの?」
「真理の予知夢をねじ曲げてくるようなヤツだよ? たぶん、逃げようとしてもまた引き戻されると思う。『赤い部屋』に救ってるなにかを、なんとかしない限りは」
「なにかって、なに? どうすれば逃げられるの?」
「それは、やってみればわかるよ。うん! だいじょうぶ、わたしにはこのバットがあるから!」
「……怪異は物理では解決しないと思う」
「いやいやいや。これって実は、ただのバットじゃないんだよ。京都の超スゴイ呪術師がたっぷりと念を込めてる特別製でね。怪異に効力があるからさ!」
「は? 京都の呪術師? いったい誰なの、誰」
「長くなるから、その話はまた別の機会に!」
わたしももう、腹をくくった。
なにをすれば出られるのか、まるでわからないけれど、できるだけのことをやろう。
このまま配信を続ければ、また「福笑い女優霊」が新情報を投下してくれるかもしれない。なんでもいい、ここから脱出するヒントを手に入れたい。
できれば、すべての発端となったオランダ商人A氏に関するさらなる情報が欲しい。日本人だったという彼の妻は、どうなったのだろうか?
「でもよかったじゃん真理。真理の予知夢は、変えられるんだよ! 運命に抗えるって証明できたじゃん!」
「……わたしが変えたんじゃなくて、この部屋に強引に変えられたんだと思う……悪い方向に……喜べない……」
「違うよー。真理が思い込んでいた経験則は法則じゃないってことがわかったじゃん。未来は定まってないってことだよ!」
「今回だけは、定まっていてほしかったんだけれど」
「これは真理にとって偉大なる第一歩だって! さあ、調査を再開するよ!」
美咲は撮影中のスマホをわたしに渡すと、バットを片手に構えて立ち上がっていた――。
<長時間留守にして申し訳ありません。オランダ商人A氏とその妻について調べてきました。その箱は、ただの無線通信機ではありません。今すぐにその物件から離れてください>
「福笑い女優霊」から新情報が来た、とわたしは思わず呟いていた。
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