第7話 さぁ、白状してもらおうか?
遊園地地獄ダブルデートから帰ってきた私達。
今、この空間には人生で経験しない人も多数いるだろう、いや、絶対に経験してほしくない地獄の雰囲気が漂っている。
クソ男は、リビングの椅子に猫背で俯きながら座り、なにも話さない。
私は、呆れてとうとう口を開くことにした。
「なんで浮気したの?」
いきなり口を開いたからか、クソ男は少し肩をビクつかせて、再びそいつの定位置に戻った。
別にさ、怒ってはいるけど沈黙は本当に嫌なのよ。ごめんの一言ぐらい聞かせてほしいわよ。もうバレてんだからさ、なにも隠すことないだろ。
「黙ってんじゃねえよ。浮気した理由聞いてんだよ。」
「さ、さっきも言ったじゃん…」
「は?」
恐らく、さっきというのは遊園地でのあの出来事のことを言っているんだろう。
――みんなの中が、郁江より気持ちよくて…
このことだろ?え、まさかあれがまじの浮気理由だったわけ?いやいや、仮にそうだとしても、あの子達とはいつどこで知り合ったんだよ??
「夏菜子ちゃんたちといつ、どこで会ったか詳しく教えろ。」
「か、夏菜子は、というか、夏菜子と唯織は高校のときに知り合ってそれで…」
「交際に発展したとか?」
「そ、そうです…」
なるほどな。私と勇が出会ったのは、社会人のときで、先輩後輩の関係だった。
あの時から既にクロだったわけか。
「じゃあなぜ、私と社会人のときに告白してきた?そのとき、夏菜子ちゃんたちとはどうなっていたんだ?」
「その…郁江と出会ったときには既に…別れてて…寂しくて郁江に告白してそれで…郁江との交際がスタートして…」
話がなげえよ。ちゃんとまとめてから話せよ。まとめる時間くらいやるからさ。
「じゃあなんで、夏菜子ちゃんたちと交際を再開した?」
「夏菜子が最初に…彼氏と別れちゃって寂しいから相手してよって…」
「そんとき、お前は?」
「郁江と既に結婚してて、だけど久々だから会いたいなって思って、いいよって言った…」
こいつの頭まじでどんな思考回路になってんの?まじで頭真っ二つに割って確かめたいくらいだわ。
「私が一番気になってることを聞くんだけど、あんたは夏菜子ちゃんたちと婚約して結婚したの?婚姻届は出したの?」
「出して…ない…けど、指輪は買った。」
まあ、出してないというより法の関係で出せないけどね。
「何人分の指輪買ったんだよ?」
「10個…だって、ペアルックじゃないとおかしいから…その…それぞれ違う指輪を10個買いました…」
「その金はどこから。」
「郁江の通帳…」
まあそうだよな。だって、私の通帳から200万円消えていたからな。
「わかった。じゃあ、慰謝料とその指輪代200万円払ってもらうからな。それと、浮気相手からも慰謝料請求くるだろうから、とんでもねえ額になると思うよ。」
「いや、その…さすがにそこまで俺からぶんどらなくても…」
「あ?」
「い、いえ…なんでもありません…しっかり払います…」
「私今日中にこの家を出ていきます。その後のことは弁護士に任せるから弁護士経由でお願いね。あ、あんたも今週中には出ていきなさいよ?」
「え?!ここに住んじゃだめなの?!」
「なによ。当たり前でしょ。忘れたの?ここが私名義なこと。私が出ていくのにあんたが出て行かないでどうすんのよ。」
「わかりました…」
「じゃ、頑張ってねー」
私はそう言い捨てたあと、迅速に荷物をまとめ、速攻家を出ていった。
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