第6話 地獄のダブルデート(2)

トランポリンを存分に楽しみ、そろそろお昼の時間となった。

お昼を食べるお店は、次に会うと合流する場所だ。

次に会うのは、唯織と結梨だ。


「お昼はどこで食べるの?」

「私の友達が待ってるハンバーグ店に行くよ。」

「場所は?」

「車で10分のところ。ナビ入れるね。」


私はそう言って、勝手にナビを入れた。まあ、勇は怒っていなかったからいいであろう。それよりも、勇は遊園地のジェットコースターくらいハラハラドキドキしていることであろう。


夏菜子「あ〜お腹すいた。」

沙奈恵「それな〜。いっぱい運動したあとってめっちゃお腹すくよね。」

理奈「お腹空いているときのお肉は格別に美味しいよね。」


後ろの席に座っている三人がそう言うので私はどんどんどんどんお腹が空いてきてしまった。ああ、早く食べたい。



***


「着いたよ。」

「唯織ちゃんと結梨ちゃん、どこにいるかな?もうお店の中かな?」

「とりあえず、中に行こうよ、郁江ちゃん。」

「そうだね。」


私はそれぞれ車から降り、店の中に入っていった。


入ると、そこには二人がいた。

二人は、こっちこっち!と手を振っている。私も周りの迷惑にならない程度に手を振る。


10人テーブル席に座り、注文をした。


唯織「あ、もしかしてこの男性が郁江ちゃんの旦那さん?」

「そうだよ。野山勇っていうんですよ。」

「は、はじめまして。」

結梨「私はなんか初めましてな気がしないんですよね〜」


ここで結梨が少し畳み掛ける。これは私達の作戦である。


「そ、そうでしたっけ、?僕は初めてかな〜って思うんですけれども…」

結梨「そうでしたか〜人違いでしたか〜」


明らかに勇は弱っている。HP残りわずかといったところか?


「お待たせしました〜注文のお品物をお持ちしました〜…」


店員さんと私は協力して全員に料理を渡した。


「以上でよろしかったでしょうか。では、伝票を置かさせていただきます。ごゆっくりどうぞ。」



***


お腹いっぱい食べたところで、次のにいくことにした。


そう、遊園地デートだ。


計画しているのは、本来の目的とは異なること。観覧車の頂上で本来なら告白をする場面。だが、その告白を最悪の告白にする。私達は、観覧車の中で、問いただす。


「次はどこに行くの?」

「遊園地だよ。」

「わかった。じゃあ車走らせるね。」


そう言って、エンジンを掛け、出発した。


***


少し日が暮れ、親子は家に帰ろうとしている中、私達問題児は、遊園地への入場を試みる。


「さっき、お腹いっぱい食べたし、早速観覧車乗っちゃおうか?」

夏菜子「そうだね!行っちゃおう!」

一同「おー!!」


一同と言えど、勇はなにも言っていない。むしろ、灰だ。


こんなんで観覧車乗れるのか?まあいいや。乗れるか乗れないか、じゃない。


乗せるんだ。


***


「観覧車乗ると、学生時代を思い出すよね。」


唯織「確かに!なんか青春を思い出すよね。」

夏菜子「なんかもうウチらババア?」

結梨「ババアとか言わんといてよ。まだウチらはアラサーなんだから。」

沙奈恵「アラサーってもうババアのイメージない?」


「ババアババア言ってたらまじでババアになりそうだから、もう言うのやめよ?(笑)」


それより、今日はこの観覧車内で、本題があるのだから。


「突然だけど、勇、浮気してるよね?そのうえ、その浮気女と入籍してる。いや、入籍したフリしてる。」


勇がいきなり硬直した。さっきまで、外を眺めていたのに。いきなり突然なこと言っちゃったかな。


「な、なんのこと?」

「なんのこと?じゃねえだろ。ここにいる女、全員おめえの妻なんだよな?どういうことだ?」

「し、知らない。夏菜子さんとか、沙奈恵さんとか、理奈さんとか結梨さんとか唯織さんとか今日初めましてだし…」


夏菜子「夏菜子愛してる、一愛してるって言わなかった?」


「いや、世界一とは言ったけど…」

「言ってんじゃん。浮気してんじゃん。自分で認めちゃってるじゃん。マジで馬鹿なの?お前さ、なんでこんなにたくさんの女と関係持ったわけ?」


「みんなかわいいし、俺にはないものを持っているし…それに…」

「それに?」

「みんなのが、郁江より気持ちよくて…」

「きっしょ。マジかお前。こんなやつと結婚してた私が馬鹿みたいだわ。」

「で、でも!今日で終わりにするから!」

「あほか!私とも終わりに決まってるだろうが!」

「ええ?!なんでよ郁江ぇ〜〜!!!」

「まじで離婚な?慰謝料払ってもらうかんな?!」

「俺、金ないぃぃぃぃぃぃ」

「駄々こねんな!だらしねえ。」


そんなこんなしていたら、いつの間にか観覧車も終盤であった。

もうこんなところから早く去りたい。慰謝料諸々受け取って一人暮らししたい。


私達は観覧車を降りた。すると、クソ男が意味わからんことを言う。


「もう終わりならさ、最後に味見させてよ。良いだろ?もう離婚するんだし。」


私は呆れてしまった。離婚するからもう良いだろ?じゃねえよ。


「お前さ、夏菜子さん、妊娠させてんだろ?最後に味見?お前の頭、がちでお花畑だな。いいよなあ、そんな呑気でいてくれちゃってよぉ。帰ったら覚えてろよまじで。」


私の言葉が効いたのか、クソ野郎は車へと向かっていく。

うわあ、このあとみんなで車乗るじゃん…かなり地獄だなぁ…

まじで家帰ったら更にボコボコにしてやるかんな。覚えてろよ。

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