第2話 郁江たちの作戦会議【ラブホ受付潜入捜査】
〜奈緒美の部屋にて〜
「なるほどね。これらが集めた証拠だと。」
「中々にハードな証拠があったもんだな。」
「そりゃそうでしょ、不倫なんだもん。」
三人が一気に言う。三人がうんうんと頷いているとインターホンが鳴った。
「順平かも。出てくれる?」
「わかった」
ドアを開けると案の定順平がいた。
「おまたせ。遅くなっちゃってごめん。」
「大丈夫だよ。私達もさっき奈緒美の家に着いたばっかりだから。」
「了解。じゃあおじゃましまーす」
そう言って順平は家に入っていった。
***
「さっきさ、いっちゃんが言ってたやつ、もう一回アゲインしてくんない?」
もう一回アゲインというのは、もう一度言ってくれということだ。
「この前、買い物して歩いて帰ってくるときに、勇がいたんだけど、私は見たことがない新たな女と腕を組んでたんだよね。」
「え、がちですか
「ガチモンもがちです。で、これはただごとじゃないと思ったんです。」
「郁江さんはもう既婚の方ですもんね?」
「はいそうです。」
「もし、勇さんが連れてる女らとも結婚してる場合、一夫多妻の形になりますね。」
「「いやそれはないでしょ」」
私と奈緒美がハモった。
仮にそうだとしたら、あいつは相当頭がとち狂ってる奴としか思いようがない。
「一夫多妻は行きすぎかもしれないなら、可能性としてあるのは、セフレとか?」
みんなが順平の顔を一斉に見た。
「な、なに」
「いや、真面目すぎて逆に困るぐらいのあんたからそんな言葉が出るとは思わなくてめっちゃびっくりしたんよ」
「奈緒美の言う通り。順平くん、そういう言葉知ってるんだね」
「ほら皆さん。話がズレてますよ。やるよ。」
「すみません」
でも確かに、順平が言った通り、一夫多妻説よりもセフレ説の方がまだしっくりくる。それなら、尚更人物特定をする必要がある。
「勇さんってどういう人がタイプなの?」
「あいつはスケベの鏡なのよ。」
「あーじゃあ胸が大きければ大きいほどメロメロになるド変態ヤロウか。」
「「「(そんな言葉まで順平から出るとは思わなかった)」」」
「なんか言いたげな顔してんな。」
「とりあえず、作戦どうする?」
今回の件に関しては、どんな作戦が有効だろうか。
「勇さんって普段どこ行くの?」
奈緒美のお姉さん、
「普段は、時間が空いてたらほとんどはパチンコに行っていますね。」
「パチンコか…あまりいい夫さんではなさそうね。子供が生まれていたら、なんにもしてくれてないと思うよ。」
確かにそれはそうだ。パチンコをやっている夫というのは、あまり良い印象が残らない。不倫をしているのだから、マイナスな印象しかないであろう。
「さっきの動画見てさ、結構旦那さん、ヤリモクなわけっしょ?ヤリモクでパチンコ常連は流石にエグない?」
いざ言われてみれば私はとんでもない男と結婚してしまっていたんだと気づく。
そこで、私のスマホの通知が鳴った。
「いっちゃんのスマホ?どうした?」
「あいつ…ヤッてるわ。」
「「「え?」」」
私が設置したあのカメラは、全て私のスマホと連動していて、人が映るとスマホに通知が来る設定になっていて、その通知がいま来たのだ。
そのレコーディングされている動画を見るためのアプリもあって、そこに全てが記されている。私は早速見た。すると、みんなも私のスマホに寄ってきた。
『ねえ、いっくん。今日本当に奥さん帰ってこない?』
『うん。友達の家にお泊まりだってさ。今日は朝まで一緒にいられるよ。』
『じゃあ今日はいっぱいシようね♡』
『愛してるよ、
「ちょっと待って。いっちゃん、流石に違和感に気づいたよね??」
「うん。気づいた。」
「さっき言ってたのは、夏菜子だったよね?今は結梨って名前の女なんだけど。」
「これは…セフレか?」
「今のところの可能性はそれだね。」
今のところ、不倫相手は二人か…
「待って…えぐい発見しちゃった…」
奈緒美がいきなりそう言うので、私はなになに?と言った。
奈緒美が動画を拡大して、二人の薬指を写した。
私は驚いた。指輪に関してはそんなに詳しくないのだが、明らかに勇のつけてる指輪と私がもらった指輪が違うことに気づく。と同時に、勇がつけている指輪は結梨とか呼ばれる女と同じ指輪なことに気づく。
「まさかと思うけどさ、まじで一夫多妻説出てきた感じ?」
「「「なくはない」」」
この動画はちゃんとした証拠動画になるな。私ってば天才。
「郁江、一回会社に電話してみて。」
「え?なんで?」
「最近の出勤状態を知りたい。」
なるほど、と私は思い、勇の会社に電話をかけた。
『お電話ありがとうございます。代表取締役の伊藤です。』
「あ、あの私、野山勇の妻の郁江と申しますが…」
『ああ!郁江さん!お世話になっております!どうなさいましたか?』
「ちょっと勇の出勤状況を知りたくて…」
『ほう。なるほど。野山さんはですね…えっと…ここ最近ずっと有給休暇をとっていますね。』
「あー…わ…かりました。ありがとうございます。」
『ご要件は以上でしょうか?』
「はい。ありがとうございました。」
『はい。では失礼します。』
・・・
「「やってんな」」
これで更に確信が深まった。とりあえず、離婚は離婚だ。ただ離婚するだけじゃ面白くない。
「ねえ、奈緒美、京夏さん、
「「「え?」」」
「私のとある友人がラブホの受付で働いているんです。あ、勘違いしていただきたくないのが、ラブホの受付で働いてるだけで、そういうのには興味とかはないですし、そんなにビッチじゃないです。」
「いや、まあわかってるわ。いっちゃんの友人だもん。」
「俺は良いですよ。なんとなく郁江さんの作戦がわかったんで。」
「えー待って待って私わかってない!いっちゃん、どういう作戦?」
「3人で働いてもらって、どのくらいラブホに出入りしているのか、女はどんなやつか、指輪はどうか。とかね。」
奈緒美はなるほどねと言った。私はパソコンは得意ではないので、そういう案は出せないので、働いてもらうという選択肢しか今はなかった。でもそれで、人物特定ができればそれで証拠は集まる。
「じゃあ、友達に事情話すから。頑張って!」
「頑張るぜい」「頑張ります」「任せてください」
この作戦はあくまでも人物特定に過ぎない。まだ序の口だ。これからクソ男がひざまずくくらいのとびっきりのお仕置きをしてやるんだから!
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