天城つぼみと、ライトノベル
天城の書いた小説はいわゆる「学園ラブコメ」だった。
---------------------
俺はこの学園を制するもの、暗黒の竜王を狩る者(ドラグネーター)
表の名前は神童 神威という名前である。前世ではアルギニア王国の国王で、騎士で、勇者で、魔王であった。
学園を守るために戦っているのだが、今日も彼女たちが離してくれない。
おっと、彼女たちってのはこの学園のマドンナたちだ。7人いるマドンナたちは、全員俺のことが好きなのである。
---------------------
そんな冒頭から始まるこの作品。
簡単にあらすじをまとめると、
・神童くんという主人公を好きなマドンナ7人がいる
・全員神童のことが好きで、毎日デートを申し込んでくる
・しかし好きすぎるので、1対1のデートをしようとしても他の娘の邪魔が入る
という内容。
まだ完結はしておらずここからどういう展開になるのか、本当に予測がつかない物語だった。
戦いが始まるのか。前世の謎は語られるのであろうか。
しかしまあ、結構酷評しているものの「国王で勇者で魔王」とか、ギミック次第では面白くなりそうだから困る。
漫画だと2巻くらいまでワクワクして、3巻で急展開打ち切り作品に有り得そうなやつだ。風呂敷広げすぎの作品。
とまあそういう内容なのだが、この20,000文字程度を読んだ限りでは面白さのかけらも感じなかった。
というか意味がわからなくて解読しきれなかった、というのが正しいのだろうか。
そんな作品でも律儀に読むあたり、俺ってやっぱり不良じゃないよね。根が真面目な好青年だよね。
「ど、どこが面白くなかったですか?」
頭でまとめていると、落ち込みモードを解除した天城が、改めて聞いてくる。
「そうだな。細かいことはきりがないからあれだけど……まずあれだな、リアリティがないな」
「り、リアリティ……ですか。なるほど、たしかに……」
むむむ、と唸る天城。
「特にこのヒロインたちとのやり取りが、リアリティを微塵も感じない。だから没入感がないんじゃないか?」
ラノベ編集者の母親を想像しながら、なんとなくそれっぽいことを言ってみる。
天城は熱心に携帯でメモを取っていた。
いや、そんなメモとられても困るんだが。
「……リアリティか……うーん……」
再び唸った後、
「そうだ先輩!」
と、何かを思いついたような天城。
ぱぁっと笑顔全開で、
「先輩、取材に付き合ってもらえませんか!」
と、そんなことを言うのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます