死神の奇襲
その後、彼らは無事にダンジョンの外に出ることができた。
すると、カイはリーヴに対して深々と頭を下げてお礼を言ってきた。
「先生がダンジョンに連れてきてくれたおかげで僕、モンスターの倒し方や攻撃の躱し方など……様々なことを学べました! 先生、今日一日ありがとうございました!」
カイのお礼を聞いたリーヴは微笑みながらこう言った。
「フッ。そうか……」
とリーヴは言うと歩き始めた。
その後ろ姿を見ながらカイもまた歩き始めたのだが……その時だった。
カイは背後から何かが迫る気配を感じて振り返ろうとした瞬間、突然何者かがカイに向かって攻撃してきたのだ。
突然のことに驚きつつも咄嗟に攻撃を躱そうとしたカイだったが、間に合わず攻撃を受けてしまった。
「うっ!」
苦痛の表情を浮かべながらカイが振り返ると、そこには一人の男が立っていた。
その風貌はまさに死神のような姿をしており、手には大きな鎌を持っていた。
男はニヤリと笑うと、カイに向かって話しかけてきた。
「貴様の命もここまでだ」
リーヴはその状況を見るとすぐに助けに入ろうとしたのだが、その前に敵は攻撃を仕掛けてきた。
リーヴは敵の攻撃をとっさに防御したが、それでもダメージを負ってしまい、膝をついた状態で呼吸を整えている。
そんな様子を見て敵はチャンスだと思ったのか、膝をついているリーヴに攻撃を与えようとした。
しかし、それを許すことなくカイが敵に攻撃を仕掛けた。
「風よ、鋭い刃と為せ、彼の者を切り刻め――《
詠唱が終わると同時に、カイの手から無数の大きな風の刃が放たれ、それらは全て敵の体に直撃した。
しかし、致命傷には至らなかったようで、何事も無かったかのように敵はカイに攻撃してきた。
しかし今度は逆にカイが攻撃に転じる番だった。
素早い動きで敵の背後に回り込むと、剣を横に振り抜いた。
それにより背中を斬られた敵は一瞬怯んだ様子を見せたが、すぐに体勢を立て直すと再びカイに向かってきた。
それを見たカイは再び剣を構えると迎え撃とうとした──。
「危ないっ!!」
リーヴはそう叫ぶと、敵の攻撃からカイを守ろうと飛び出した。
そして敵の攻撃をまともに喰らってしまい、リーヴはその場に倒れ込んだ。
それを見たカイはすぐに駆け寄ると、リーヴに声をかけたが返事がなかった。
それを見た敵はチャンスだと思い、再びカイに襲いかかってこようとしたのだが……その瞬間、カイの目の前から姿を消した──いや、正確には目にも止まらない速さで移動しているのだ。
「見えない!?」
驚くカイだったが、その隙を狙って敵が攻撃を仕掛けてきた。
しかし、間一髪で敵の攻撃を躱すことに成功したカイはそのまま相手の懐に入り込むと、剣で斬りつけた。
だが、それでも致命傷には至らなかったようで敵は反撃に転じた。
「くっ!」
敵の攻撃を躱しつつ反撃を繰り返すカイだったが、なかなか決着がつかず苦戦していた。すると今度は、敵が攻撃の手を止めて地面に手を置いた。
次の瞬間──そこから闇の渦のようなものが現れると、その中から無数の黒い手が飛び出してきた。
それを見たカイは思わず後ずさりをしてしまったが、すぐに体勢を立て直すと敵の攻撃に備えた。
すると敵の攻撃が始まり、無数の黒い手がカイに向かって襲い掛かってきた。
それを見たカイは冷静に対処することにした。
「風よ、我が身を守る盾となれ――《
詠唱を唱えるとカイの目の前に風の層が現れ、敵の攻撃から身を守った。
その間にも次々に襲ってくる攻撃を防ぎつつ、カイは敵の隙を探った──そして、敵の隙が唯一できる次の攻撃をするまでの0.24秒以内のタイミングを狙って反撃に出た。
敵が攻撃をしようとした瞬間を見計らい、カイは魔法を詠唱した。
「燃え盛る炎よ、我が剣に宿り、敵を焼き尽くせ――《
カイがそう唱えると、カイの持つ剣が炎に包まれた。そしてそのまま敵に向かって斬りかかった。敵の体に炎が燃え移り、その熱さによって苦しんでいるようだが、敵は攻撃の手を緩めなかった。
カイは何度も何度も斬りかかり、敵の体力を奪っていった。
やがて力尽きたのか、敵はその場に倒れ伏し、動かなくなった──どうやら死んだようだ。
その後、すぐにカイはリーヴのもとに駆け寄り、回復魔法をかけた。
しかし、傷はかなり深いようでなかなか目を覚まさなかった。
それを見たカイは不安そうな表情を浮かべていたが、しばらくすると落ち着きを取り戻した。
そして彼は、リーヴを引きずるような形で歩き出すのであった。
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