バーサーカー
「とりあえず、そのステータスカードの職業欄の下に書いてある『ランク』と、スキルスロットの項目の左側にある『使用可能魔法属性』という項目を確認してみろ」
リーヴにそう言われたカイは、さっそく自分のステータスカードを確認した。
ステータスカードを確認すると、そこには『職業』『ランク』が書かれている下に何やら見慣れない項目があり、そこにはこう書かれていたのである。
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使用可能魔法属性:『火』『水』『氷』『雷』『風』『光』『闇』
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カイはこれを見て驚いたのだが、それと同時に疑問を抱いた。
(これってどういう事だろう?)
そもそも自分の使える魔法属性が一種類しか無いので、他の属性が使えるようになるはずがないのだ。
それなのになぜこんな項目があるのか不思議でしょうがなかったのである。
しかし、いくら考えても分からないものは仕方がない。そう思ったカイはとりあえずリーヴに質問をすることにした。
「あの……これってどういう意味ですか?」
カイが質問すると、リーヴは難しい顔をしながら答えてくれた。
「まあ簡単に言えば、お前は全ての属性魔法を使えるということだ」
(は?)
カイはその言葉が信じられなかった。
自分が全ての属性魔法を自由に使えるなんてあり得ないと思ったからだ。
だが、リーヴはさらに説明を続けた。
「そしてお前のステータスカードには『バーサーカー』と書いてあるだろ?」
(え? うん。確かに書いてあるけど……)
カイは自分のステータスカードを見ながら心の中でそう答えた。
すると、ギルド長が補足するようにこう言ったのだ。
「
「隠された力……ですか?」
ギルド長の言葉を聞いて、カイは驚きのあまり言葉を失ってしまった。
(俺に隠された力があったなんて……)
そんなことを考えているうちに、ふと疑問に思ったことがあったので、カイは質問してみることにした。
「あの……そういえば僕の『ランク』っていくつなんですか?」
その質問に対してギルド長はこう答えた。
「あー、それはだな……」
(ん? どうしたんだろ?)
何故か歯切れの悪いギルド長の様子を見てカイは少し不安になったが、すぐにその理由を教えてくれた。
「実はな……お前のランクはまだ決まっていないんだ」
(え? どういう意味だ?)
そんなカイの疑問に答えるかのように、ギルド長は説明を続けた。
「冒険者の中には稀にランクが不明な者がいるんだ」
(えっ!?)
それを聞いた瞬間、カイの顔が青ざめていった。というのも彼は、自分が冒険者としてやっていけるのか不安になったからである。
すると、そんなカイの気持ちを察したのかギルド長がさらに話を続けた。
「安心してくれ。別にお前の人生が終わるわけではないからな!」
それを聞いた瞬間、カイはホッと胸を撫で下ろした。
「そ、そうですか……良かったぁ〜」
(びっくりしたぁー)
カイは心の底から安堵したのだが、すぐに次の質問をギルド長にぶつけてみた。
「あの……ちなみにランクが決まるまでどれくらいかかるんですか?」
「うーむ……それは分からんなぁ」
「え? なんでですか?」
予想外の答えを聞いた瞬間、カイは思わず聞き返してしまったのだが、それに対してギルド長は冷静に回答した。
「お前がこれから学んでいくことが、冒険者にとって必要なスキルだからだ」
「え? それってどういう意味ですか?」
(僕に必要なスキルっていったいなんだろう?)
カイは疑問に思ったことを口にしたが、ギルド長はそれを誤魔化した。
「いや……今はまだ知らなくていい。お前にはこれから学ぶべきことがたくさんあるからな」
「はあ……」
(なんか誤魔化された気がするけど……まあいいか)
そんなやり取りをした後、ギルド長はリーヴに向かってこう言った。
「では、後は任せたぞ。リーヴ」
リーヴは大きなため息をつくと、カイに向かってこう言った。
「おい、新人。訓練所に移動するから付いてこい」
「は、はい!」
カイは緊張しながらも返事をすると、そのままギルド長室を後にした。
そしてリーヴに言われた通りに付いて行くと、数分後には訓練場に到着したのだった。
訓練所……そこは屋内型の施設だったようで、屋根がある場所だった。その広さはかなり広く、端から端まで20メートル以上はあるであろうと思われる大きさであった。
そしてそこには、数十人の冒険者達が剣の素振りや魔法の試し打ちなどをしていた。
(ここが訓練所か……)
カイがそんなことを思いながら辺りを見回していると、リーヴに声をかけられた。
「さっさと始めるぞ」
カイは慌てて返事をすると、訓練内容を尋ねてみた。
するとリーヴはこう答えた。
「まずはお前のステータスを確認しながら攻撃方法を決める」
「攻撃方法を決めるってどういうことですか?」
カイは疑問に思ったことをそのまま口にしてした。
すると、それを聞いたリーヴがため息をつきながら答えた。
「はぁ……お前、何も知らねぇんだな」
それに対してカイは何も言えなかったので、黙って話を聞くことにした。
「いいか? 攻撃方法は大きく分けて3つあるんだ」
リーヴはそう言いながら指を三本立てた。
そしてリーヴは説明を続けた。
「まずは『物理攻撃』これは言葉通り武器を使って攻撃をする方法だ。次に『魔法攻撃』これは魔法を敵に当てて攻撃する方法だな。そして最後は『スキル攻撃』言葉通りスキルを使って敵を攻撃する方法だ」
「なるほど……」
(スキルってどうやって使うんだろう?)
カイがそんな事を考えていると、リーヴがさらに説明を続けた。
「ちなみに、お前が使える攻撃方法は2つだけだ」
「え……? 2つ!?」
「ああ、そうだ」
(3つ全て使えないのかよ!)
カイは心の中でそう思ったのだが、それと同時に不安が押し寄せてきた。しかし、リーヴの話は続く。
「まず1つ目の攻撃方法は『物理属性』での攻撃方法だ」
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『物理属性』武器を使って敵を攻撃する。
・剣:ダメージを与えやすいが威力は低い。
・槍:ダメージは少ないが素早い動きで敵に回避されにくい。
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「この攻撃方法は敵を素早く仕留めることに長けている。だから『物理属性』の攻撃方法の1つ目だな」
リーヴはそう言いながらカイに剣を投げ渡した。
「え……? あ、ありがとうございます」
(なんで剣を投げ渡すんだろう?)
そう思いながらカイは剣をキャッチすると、そのまま構えてみた。
そしてリーヴに質問する。
「あの……これってどうやって攻撃すればいいんですか?」
カイの質問にリーヴはこう答えた。
「ただ敵に向かって剣を振ればいいだけだ」
それを聞いた瞬間、カイは驚いて固まってしまった。
(いくらなんでも適当すぎるだろ!)
心の中でそう叫んでしまったのだが、そんなカイとは反対にリーヴは続けてこう言った。
「ちなみに、この武器は青銅製の盾だ」
そう言って今度はカイに大きな盾を手渡してきた。
(重っ!)
カイはその盾を両手で持つと、なんとか構えることができたのだが、それでもかなり重くてふらついてしまった。
「その盾は『物理属性』の防御に特化した盾だ。だから敵の攻撃から身を守ることができる」
リーヴはそう言いながらカイに向かって剣を振り下ろしてきた。
カイはリーヴの攻撃をなんとか受け止めたのだが、その時に手に持っていた盾を落としてしまった。
(うわっ!)
その瞬間、カイはリーヴの攻撃を盾で防ぐことができなくなってしまった。
(やばいっ!)
カイはそう思った瞬間、反射的に体を捻って攻撃を回避した。
すると、そのタイミングに合わせるようにリーヴが剣を振り下ろしてくるのが見えたので、今度は持っていた剣を使ってリーヴの攻撃を防いだ。
その瞬間、カイはあることに気付いた。
「あれ? なんで?」
(なんで攻撃を躱せるんだ?)
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