2話 コンビニSマート
今日も今日とて、俺はSマートで立ち読みにいそしむ。
我がクラスのヒロインでありヒーローでもある
俺の目線は先ほどから手にしたコミック雑誌を離れて、ちょいちょいとレジ付近の彼女を・・・。するといかにもわざとらしく、店長が並べてある雑誌の整理に来る。どうも俺の近くの雑誌だけが乱れるらしく、さっきから俺の近くを離れようとしない。
―――フン! そんなイヤガラセに屈する俺ではないぞ!
ちょうどその時、軽快な電子音とともに入り口の自動ドアが開いた。入って来たのは私服に着替えた
彼女は入ってくるなりツカツカと窓際の俺に近づいて来るとひと言。
「一郎、なんであなたがこんなとこにいるのよ?」
「なんでって見りゃわかるだろ、本を読んでるんだよ」
「ふ~ん、大変ねストーカーさんは!」
「バ、バカ言え! たまたま近くを通ったから寄っただけだろ」
「へぇ~、たまたまね。私はてっきり
「・・・・。」
―――大当たりです。
だが誤解してもらっては困る。二年連続で『ミス
入学当初から俺の想いは一貫して変っていない! ・・・って誰に言い訳してんだ?
俺が一人問答をしていると、早くも俺への興味を失ったらしい里奈は、一人、発券機へと向かう。そうそう、そのナンチャラ坂のチケットが当たったって言ってたな。
そんな彼女は発見操作を終えるとあかりの待つレジへ。
「里奈、良かったねー!」
あかりがバーコードを読み取りながら、我がことのように目をキラキラさせて話しかける。
「ありがとー! マジでテンション上がるわ!」
「そうだよね! あ、じゃあ一万一千円になります!」
「了解!」
―――い、いちまんいっせんえん!? たっけぇー・・・。
「じゃああかりもバイト頑張ってね!」
「うん、ありがとう!」
手を振り合うJK二人。
それを盗み見るストーカー・・・じゃない、男子一人。去り際、そんな男子に里奈が捨て台詞。
「一郎も早く帰らないと捕まるよ!」
「だ、誰に捕まるんだよ!」
蔑んだ目をしながら出て行った里奈の背中に声を吐き捨てる。
とは言うモノのあまり長居するのもなあ。俺は一頁も進んでいない雑誌を棚に戻すとあかりに目配せ。軽く手を振って応えるあかり。―――うう~ん、キュートすぎる!
と、その時、自動ドアにぶつからんばかりの勢いで里奈が戻って来た。
「あかり! チケットが! チケットが盗まれた!!」
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