第53話

 徳三は線路の上に乗っかっているモンスターの死体を次々と蹴り上げてどかしていく。岬も平然と麻袋の中を数えている。このままついて行っても大丈夫だろうか。松明を吹き消して、闇に紛れて逃げ出せんだろうか。


 サティアンがレイピアを大きく振った。あれはメインターゲットを見つけたというサインだ。続いて集合しろとの合図を送ってきた。


 やばい、心臓がバクバクする。破裂しそうだが、なんとか自分の目で確認せねば。目に飛び込んできたのは死体とモンスターの頭を被った盗賊だった。


 なぜこんなところにいる?


「・・・モンスターマスクの効果は十分だったようですね」


サティアンは盗賊に話しかけた。


「はい、僕が人間だってことを悟られた様子はまったくありませんでした」


盗賊はサティアンに恭しく報告した。


「なかなか度胸あるじゃねーか」


岬は盗賊を褒めた。


「うむ、それで剣は?」


俺は死体に松明を照らす。剣が落ちていた。死体は腐敗が進んでおり、もはや性別すら判別できない。死体には剣が握られていた。


「あの、ちょっといいですか、なんで彼が?」


俺はたまらず尋ねた。


「もう話してもいいだろ、見ての通り盗賊は我々のスパイだ」


徳三はサラリといった。


「あ・・・あの」


「何?」


口の中が乾いて言葉が続かない。妙な間ができた。


「信用していいんですか?」


俺はようやく口に出せた。

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