第43話 戦いとは2手3手先を読んで挑むものだ
バタンと扉を閉めて、ミサ姉はいってしまった。
「やれやれ、どこに行こうというのでしょう」
いつの間にかサティアンは縄を解き、吊るされた匿ちゃんの縄を包丁で切ろうとしていた。かなり頑丈に、それも職人の人が使う縛り方で動きを封じられていたはずなのに、ひょうひょうとしている。恐らく、抜けようと思えばいつでもするりと抜けられたのだろう。奇術師のように。
彼女はずっとタイミングをうかがっていたのだ。
俺は改めて彼女に畏怖の念を抱き、{般若の型をしたケーキ}をそっと冷蔵庫にしまった。
「うーん見事な縛り方ですね、切ってしまうのが惜しいくらいです」
サティアンはじっと結び目を観察しながら、丁寧に刃を縄のわずかな隙間滑り込ませていく
「あ‥頭に血が上る・・なるはやで頼む」
匿ちゃんはダルそうな声を上げる
「急かさないでください、ちゃんと見てますから」
どこを切断すれば安全に縄が解けるのかきちんと理解してるようだ。右脇の何カ所かに切れ込みをいれただけで右腕がするりと抜けた。そして、あごの下の切れると頭から落ちてしまいそうな縄を横一文字に切断すると、何故か体は空中に浮いたままで、左腕がだらりと下がった。
サティアンはくるりと後ろに向きなおると台所に向かって歩き出した。
「ちょっと、俺このままかよ?」
「もう自分で抜けられますよ」
匿ちゃんは体をもぞもぞ動かすと縄がぱらぱらと解けた
「ふぅ~ひどい目に遭った」
「では岬さんのところに行きますか」
ああ、やはり行かないと駄目なのか
「あの~どこに行ったか分からないと思うのですけど」
「大体検討はつきます」
勇者ファイル、通称『U-ファイル』を出してきた。この中には勇者のこれからの行動を予測するための膨大なデータが入ってる
「これを見てください、勇者がどこに行ったかあなたにわかりますか」
数ページめくってみる。中身は最上級国民の人が好んで使いそうな言葉だらけでさっぱり理解できない。一行読むだけでめまいがしてきそうだ
「こ・・これは・・!?」
「最新の資料です」
そんなばかな、これが答えなのか?
「今朝の朝刊に入ってました」
いや、あり得ないとは言いきれない
U-ファイル最新資料『朝刊のチラシ』
★カジノ、本日グランドオープン!!!!!☆彡
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