第42話 僕らが見ているこの世界は誰かの筋書きなのかも
「岬さん、そろそろ縄を解いてください」
サティアンはベットに縛り付けられたまま懇願した
「あ、頭に血が上る・・・」
匿ちゃんは天井から逆さ吊りにされている。俺はというと上半身、裸で正座させられていた。
「ふーん、それであたしにケーキを投げつけてきたのか」
「勇者をアシストするためなのです」
俺は土下座しながらミサ姉の機嫌が直ることを祈った。
「そっかーじゃあしょうがないよねぇ、ってなるかぁ!?」
「特にお前、人をシャワー室に閉じ込めやがって!」
サティアンはこれも仕事の範疇ですと目を泳がせながら答えた。ミサ姉は立ち上がると、これを書いたのはお前か?と匿ちゃんに原稿を額につつきながら尋問した。その様は昔見た、中世の映画に出てくる拷問官のようである。
-原稿-
サティアン 「彼女できそうですか~?」(嫌味っぽく)
俺 「いや~俺はグッドスメルと結婚する予定があるので大丈夫です」(引きつり笑いで)
サティアン 「いーちゃんが好きそうですねぇ」(クスクス笑いながら)
俺 「いや~俺はどちらかというと、ミッチと結婚して鳳琳と浮気して、それが見つかって、そしていーちゃんに優しく叱られたいです」(ゲス顔)
サティアン 岬 「ぷはははは!!!」
匿ちゃん 「俺は性活ロマンポルノのテレカを集めているぞ!」(イラつきながら)
サティアン 岬 「あはは・・・」(引き気味)
俺 「俺はグッドスメルの解散ステージに無理やり出演させられて、こいつが犯人です!ってつるし上げられられたらもう本望ですね」(あちゃー匿ちゃん、スベッてんな)
サティアン 岬 「えー?何それ?」(興味津々)
俺 「こうなったら責任を取ってもらいます。三人まとめて養ってください ネ!って感じでヒールで頭をコツンとやられたら、俺、幸せすぎて昇天しちゃうかも、でへへへへ」(もうこうなったらみんなまとめて笑わせてしまえ!!)
サティアン 岬 「ぎゃーっははははははははは!!!!」(爆笑の渦)
匿ちゃん 「俺のテレカは頭、胴、下半身のセットでヌードになるぞ」(割とマジな感じでイラつきながら)
- 終わり
その刹那、その場が凍り付き、俺は般若を見た。
「それで私の顔面にケーキを投げつけてきたと」
はいそうです、そういう段取りでしたからと俺は素直に認めた
「人を閉じ込めて、説教したあげく、ゲリラコントを見せられて・・・」
誘導は見事にうまくいった。ミサ姉はきれいに我々の思惑通りに動いてくれた。相手が勇者だったらどうなっていただろう
「でも見てくださいこの見事な型!これを評判のパン屋さん、いやケーキ屋にでも持っていったら、きっと上手に焼いてもらえます。そしてエフェクトボーナスプラス30パーセントです」
ミサ姉の顔から表情が消えた。いったいこれはどういう心境なのだ。
「ねぇサティアンさん、これいいですよね?」
俺は般若ケーキを見せつける。
「きゃっ!こっちに向けないでください」
匿ちゃんは?
「ああ~俺が悪かったんだ・・・許して・・・許せ・・・」
うわごとをつぶやいている
「ちょっと行ってくるわ」
ミサ姉はモブマントを掴み出ていこうとした。
「おい、どこに行く気だ?」
「決まっているだろう、勇者とかいう馬鹿を殺す」
「岬さん、それは我々の仕事ではありません」
「そもそもあいつが出現してきてからこんなおかしなことになってきてるんじゃねえかよ、あいつが!あいつさえいなければ」
・・・!そうだ、勇者さえいなくなればこんなことしなくてもいいんじゃないか!ミサ姉頑張れ!
俺は心の中でそう思った。
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