第29話 ちょっとだけ淫猥な感じで話が開始しますが全くそんな展開にはなりません。先に謝っとく。

教室には女と生徒、二人だけになった。一番最後に促されてしぶしぶ教室に入っていったあの生徒だ。男が来た時に一番最初に顔を出していたあの生徒。全部食べるつもりなのか、残すつもりなのかわからないが未だに食事を続けている。


「ねぇ、あそこの席、誰が来てないか教えてくれないかな」


女は猫なで声で生徒に話しかける。


「もう来ないよ」


「こないってどういうこと?」


「そこの席の人、今日学校に来た男の人の娘だったんだ」


「あの男の人、時々校内をうろついているそうね」


「あの男の人、娘さんが行方不明になって以来、大体お昼前くらいに現れて、しばらく校内をウロウロしだすんだ。たまに教室に入ってくることもある」


「なにそれ、危なくないの!?」


「もう皆、慣れっこ」


咀嚼しながら生徒は応える。


「トラブルになったことは一度もないんだ。教室に入ってきたときは副会長がさっきみたいに連れ出してくれるんだ。副会長のいうことは素直に聞くんだ」


女は目をキラキラさせてもっと話を引き出そうとしたが、生徒はそれ以上は何も答えなかった。


スプーンを置いて6分の1ほど残した。


「ちょっとそれ全部食べなさいよ」


女は黙り込んだ生徒にイラつきながら言った。


「完食した人が多いほど、私の評価があがるのよ」


そういった瞬間、まだ残っているお盆を縦に振り下ろした。女はペーストまみれになった。


「あんたも自分の事ばっかりだ」


「ちょっと何!?汚い」


「汚いだと!?汚いものをあんたは食べさせているのか」


生徒はいきり立って言った。しかし女がギロリと睨みつけると教室を飛び出して行った。そしてそのままの勢いで窓ガラスをぶち破り外へ飛び出して行った。


・・・さて!ここで選択問題だ!


ここで俺がとるべき行動は?


1 ペーストまみれの女を優しく慰め、キレイキレイしてあげる


2 出ていった生徒を追いかけて、捕まえてしばき倒す


3 バケツのペーストを持ち帰り、その正体を探ってみる




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